親切 ページ28
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それからしばらく歩いて俺達は外のベンチがある場所まできた。
繋いでいた手は、近くにある自販機で飲み物を買おうとした時に離さざるをえなくて、静かに離れた。
渡辺「…はい。」
少しでも気分が変わればって思って、買ったばかりの水を渡すと再びAと目が合う。
「え？あ、ありがとう、ごめんお金、」
渡辺「いや、いいから。座ろ。」
律儀にお金を出そうとするAを制して、俺らは微妙な距離を保ちながらベンチに座った。
渡辺「……腕、大丈夫？」
「え？」
渡辺「…さっき、掴まれてたところ、赤くなってたから。」
「え、そうだった？？もう全然大丈夫だよ、ありがとう。」
そう言われて白くて細っこい彼女の腕を見てみると、確かにさっき見た赤みは引いている。
はぁ、よかった。
―――って、何安心してんだよ俺。
いやいや、仕事仲間が、怪我したりしてたら嫌だよな？怒るよな？
うんうん。じゃあ、心配するのは普通のことだ。
なんて誰にしてんのかわかんない言い訳を考えている俺。
まじで、らしくない。
「……さっき、助けてくれてありがとう。あの、ちゃんと分かってるから。」
渡辺「え？」
「俺の、とか。あの、私のこと助けるために、その、親切で、嘘ついてくれたんだよね……？」
顔を赤くしたAにそう言われて、さっきの自分のセリフを思い出す。
なんか、俺、結構やばいこと言った！？
渡辺「いや、！えっと、」
「あの！！大丈夫だから。……渡辺くんは優しいってわかってるから。……うん。ちゃんとあの人を諦めさせるための嘘だって、わかってるから。」
Aは自分に言い聞かせるみたいにそう言って、なんだか少し悲しそうな顔して頷いてみせる。
勘違い、されなくてよかったはずなのに。
勢いで言ってしまった牽制のための嘘だったはずなのに。
でも、俺だって別に、誰にでもああいう風にする訳じゃない。
そりゃ、困ってる人がいれば、助けはするかもしれないけど。
優しいだけで、あんな風に言ったわけじゃない。
Aの中では、俺ってただの親切な人？
なんだそれ。
……なんかやだ。
そもそも、なんで俺、こんなことで、こんなにモヤモヤしてるんだろ。
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
