憤怒 ページ27
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Aの会社がスポンサーの仕事は週に2〜3回の頻度で行われていた。
撮影は驚くほど順調。
あいつがいる現場は、いつもより時間が過ぎるのが早い。
……なんでだろ。
そんなこと考えながら、仕事が終わったらちゃっちゃと帰る準備をしたい俺は、他のメンバーたちより一足先に楽屋に向かって歩き出していた。
「⎯⎯⎯⎯困ります。」
聞き馴染みのある、澄んだ声。
「ちょ、！」
『まあまあ。いいじゃん。ご飯食べに行くだけだし。』
「いえ、一緒にお食事する理由もないですし。っ、それより腕、離していただけますか？」
『えぇーそんな悲しい事言わないでよ。』
は？何してんの。
この間の飲み会にいた男に腕を掴まれて、困った顔しているA。
あー。
まじで。
イライラする。
渡辺「あのさぁ、俺らの仕事場でダサい事しないでもらっていいですか？」
「！」
『！』
思わず、体が動いていた。
突然の俺の登場に、二人して驚いた顔でこちらを見る。
Aの顔は、見たことないくらい強ばっている。
『あっ、渡辺さん、お疲れ様です！これは別に、何ってわけではなくて、』
渡辺「どうでもいいから、早くその腕離せって言ってんの。」
男のくだらない言い訳を遮ってそう言うと、大人しくそいつは手を離す。
Aの腕からそいつが手を離してようやく、少しだけ気持ちが落ち着いた。
でも、離されたAの腕がうっすら赤くなっていて、俺の頭の中でプツンと何かが切れる音がした。
渡辺「こいつ俺のなんで、手出さないでもらえます？」
『え？俺のって、だってAちゃん彼氏いないって、』
渡辺「うるせーな！俺のだって言ってんだろ。あと、気安く名前で呼ぶのもやめろ。今度また同じことしてんの見かけたら、ただじゃおかねぇからな。」
俺は目の前の男を睨みつけ捲し立てるようにそう言い放つと、Aの手を取って、怯んだ男の横を通り過ぎる。
これ以上この男の視界にAが映っているってことが、耐えられなかった。
あーーー。らしくねぇ。
「……」
渡辺「……」
お互い、何の言葉も発さずに、ただひたすら真っ直ぐ進む。
Aが今、何を考えてるかはわからない。
ただ、繋がれた手を振りほどかれないことが、なんとなく受け入れられたようで心地よくて、言葉なんかなくてもいいと思わされた。
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
