真実 ページ22
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「私、あの頃、渡辺くんがアイドルだって認識が全然なくて……。」
Aが申し訳なさそうに言葉を続ける。
「……ある時ね、図書室で二人きりだった所、写真に撮られていたみたいなの。それで、『翔太くんはあんたとは違う世界の人間なの』って。『あんたなんかが近付いていい人間じゃない。将来めちゃくちゃにする気？』そう言われて、」
渡辺「……っ！なんだよ、それ、」
そんなの、知らない。
「私、そんなこと何も想像していなくて。自分がそばに居ることが渡辺くんの未来に影響するなんて、思わなくて……、」
そんなことがあったなんて気付かずに、俺は……
「私は渡辺くんと過ごす時間がとても大切だった。だけど、同じくらい渡辺くんの将来や夢も大事だと思った。」
Aはそう言いながら、少し冷めたマグカップを両手でぎゅっと握りしめる。
「どうしたらいいか悩んでいた時、宮舘くんから『翔太から離れた方がいい』って言われたの。」
涼太がAに……？
渡辺「……それで、突然あんなこと言った、ってこと？」
「……うん。無知な私は、知らないうちに渡辺くんの未来を脅かす存在になっていたんだって知って、隣で一緒に過ごすことが怖くなった。だから、渡辺くんを傷つけると分かっていても。……嫌われてもいいから、ちゃんと離れなきゃいけないと思ったの。」
俯いた彼女の表情はわからなくても、声のトーンからひどく悲しんでいることはわかった。
そんなことを思って、あの時Aは俺に突然あんなことを言ったんだ、って。
今初めて知った。
責めたって仕方ない。
お互い幼かったんだから。
俺だってその場にいるのが辛くて、傷つきたくなくて、逃げ出したくせに。
気にしなくていい、そう言ってあげられればAの罪悪感は薄れるかもって、頭の中では分かってるのに、俺は何も言葉を発することが出来ない。
「ごめんなさい。私、自分の伝え方が間違ってたって、渡辺くんを無駄に傷つけてしまう言い方をしてしまったって……ずっと、っ、ずっと後悔して……っ」
目の前のAが、頭を下げ、言葉を詰まらせる。
謝って欲しいわけじゃない。
泣かせたいわけでもない。
そんなことしたって、俺達はもうあの頃には戻れないし、会えなかった時間を埋められるわけじゃないんだから。
なら、
⎯⎯⎯⎯俺が、したいことは？
⎯⎯⎯⎯俺が、できることは？
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
