回想 ページ21
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「久しぶりに、対等に人と関われてうれしかった。真っ直ぐで素直な渡辺くんと過ごすと、本を読んでいる時に感じるワクワクみたいっていうのかな？……ううん、きっとそれ以上。」
渡辺「……」
「……渡辺くんがいる図書室は、私にとって、本の世界と同じくらいキラキラしていたんだよ。」
知らなかった。
俺と同じ、だったんだって。
Aはコーヒーを一口飲んで、話を続ける。
「あの……これから言う事、気持ち悪いとか思わない？」
渡辺「ん？まあ、内容によるけど……多分、思わないんじゃね。」
「ふふ。そういう嘘つかないところ、変わらないね。……実は、昨日はとぼけてしまったんだけど、ほんとは渡辺くんがデビューしたことちゃんと知ってたよ。」
渡辺「え、」
「昔、渡辺君が私に深夜放送のドラマに出てるから観てよって言ってくれたことがあるの。……その後から実は渡辺くんの活躍を応援するようになったんだ。」
渡辺「えっ？！」
「ドラマの中の渡辺くんはいつもの図書室の渡辺くんとは別人みたいだった。同級生なのにすごいなぁって最初は思うだけだったんだけど……、いつの間にか、その頑張りが報われますようにって、応援するようになってたの。」
そんな話、聞いたことなかった。
ドラマの感想を聞く前に繋がりがなくなってしまっていたから。
「……テレビ番組だけじゃなくて、雑誌とかもたまに買ってたよ。」
渡辺「っ、」
めちゃめちゃ、恥ずかしい。
お前、ほんとにあの本ばっかり読んでた結城Aかよ！？って、心の中ではつっこめるのに。
「あとは、実は、ファンクラブにも入ってるの……」
渡辺「はぁ？！」
何だそれ！
めちゃくちゃ応援してくれてたんじゃん！
全然、知らなかった……。
さっきまでの苛立ちが嘘のように消えて、懐かしいソワソワした感覚が蘇ってくる。
「ご、ごめん！気持ち悪かった？」
渡辺「いや、気持ち悪いとか、全然ないけど、」
「ほんとに……？」
心配そうな顔したAが俺を見つめる。
いや、むしろ、嬉しいくらいなんだわ。
渡辺「ほんと。だけど、」
……だったら、やっぱ。
渡辺「じゃあなんで、俺のこと遠ざけるようなこと言ったんだよ」
お互い、あの図書室の時間を大切に思ってたはずなのに。
だったら、どうして。
俺の問に、明らかにAは眉を下げて悲しそうな顔をした。
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
