違和感 ページ16
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そんな一件があったものの、その後の俺とAの関係は相変わらずだった。
ただ一つ。
Aと居ると、心地良いのに胸がざわつくことが増えたことを除いて。
渡辺「なぁなぁ、今度ドラマやるから観てよ。深夜だけど。」
図書室のいつもの席で課題を広げている彼女の隣に座り、机に突っ伏しながら、Aの長くて綺麗な髪の毛先をくるくる指先で遊びながら話しかけてみる。
「んー、深夜かぁ、私23時には寝ちゃうからなぁ。」
渡辺「は？年寄りかお前は！週1回くらい夜ふかししろよ！」
髪の毛を触られていても、Aはいつも俺の周りにいる女子とは違う。
課題に夢中なAから発せられた、俺への関心のなさが伝わる言葉に、俺はつい強めに反論してしまう。
「えぇっ、渡辺くんは横暴だなぁ。」
渡辺「なぁ、絶対だからな！？観ろよ！？」
「わかったよ、……がんばる。その時間に目覚ましかけておく。」
渡辺「よし！」
「ふふ。」
俺の根気に負けたAが、表情を緩ませる。
その顔が、なんだか胸をくすぐったくさせた。
穏やかに過ぎていく、やさしい時間。
俺は、自分の気持ちの正体にも気付かなくて。
⎯⎯⎯⎯そして、彼女の変化にも気付いていなかった。
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渡辺「てか、何か筆箱ボロボロじゃね？」
「ん？あぁ……えっと、この間外で落としちゃったからかな？」
渡辺「ふーん？あ。その腕の絆創膏も、珍しいな。怪我？」
「あ、ぁあ。体育で擦りむいちゃって。」
渡辺「へえ。意外とドジじゃん？」
「もう、そんな事言うなら勉強教えないよ？」
渡辺「え！それは無理！ごめんって！」
Aは俺にはよく冗談も言ったし、自惚れだったかもしれないけど俺の前だとよく笑った。
反対に、俺はAの前だと、アイドルであること、芸能人であること、周りからの評価を気にしなきゃいけないこと、全てを忘れられた。
世界には２人だけになったかのような、そんな風に錯覚するくらい、俺は浮かれていたんだろう。
⎯⎯⎯⎯だから、まさかそんな俺らを誰かが見ていたことなんて気付く術もなかった。
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
