安堵 ページ15
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―――そう、思ったのに。彼女はいつも、俺の予想以上のことをする。
俯いていた頭に触れる、小さな手の温もり。
渡辺「！！」
「よしよし。よく頑張ってるね。」
Aはいつもより優しい声で、子どもをあやす様にそう言って、俺の頭を撫でた。
あぁ。立ち上がったのは、向かいに座っていた俺の横に来る為だったんだ、って、驚いて思考が追いつかない中で考える。
……ってか、なんでこいつ、同級生の頭撫でてんの？！
状況が理解出来てくると、押し寄せてくる恥ずかしさ。
だけど、不思議とAの手を払い除けるのは躊躇われた。
渡辺「なに、してんの、」
せめて恥ずかしさを隠すように無愛想に俺は問いかける。
「んー、渡辺くん、なんだか疲れてるみたいだったから。落ち込んだ時こうすると元気がでるかな？って思って。弟にはコレ効くみたいなんだけど、ダメだった？」
当たり前みたいに、Aは応える。
絶対こいつ、他人との距離感おかしい！
てか、弟と同じ扱いすんな！
そう怒鳴れなかったのは、一定のリズムで撫でられるそれが何故か妙に心地よかったから。
渡辺「ダメじゃ、ねーけど」
「ふふ、よかった。よしよし。」
渡辺「……お前さ、相手が疲れてたら、誰でもこういうことすんの？」
「？しないよ？」
渡辺「っ、」
即答されると、こいつの中で俺は特別なんじゃないかって勘違いしそうになる。
でも、今さっき、友達と遊んだら良いんじゃないか？なんて突き放されたことを言われたことを思い出して、俺はぐちゃぐちゃな感情のまま、俯くしかなくて。
「私、面白いことの一つも言えないでしょう？だから、渡辺くんがよく一緒にいる友達と遊んだら元気になるかな？なんて思ったんだけど、気に触ったならごめんね。」
渡辺「……俺は、ここに来たくて来てんだよ。」
「……そう、だったんだね。私も、渡辺くんと話せて楽しいよ。迷惑なんて思ったことない。」
迷惑じゃなかったんだ、俺と話せて楽しいって思ってたんだ、そう分かってようやく、隣に立つAの顔を見ることが出来た。
すると、Aはそんな俺を見てふわりと笑う。
―――同時にドクン、と胸が音を立てる。
なんだ、これ。
心臓が、苦しい。
こいつの無駄に綺麗な顔も、頭に触れている手も、苦しさを加速させてる気がする。
でも、この胸の苦しさはきっと、年甲斐もなく頭なんて撫でられたからだと思った。
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
