夢の中 ページ12
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深い眠りの中で見たのは高校生の頃の思い出。
―――それは、彼女と2人だけの。何度目かの図書館での出来事。
渡辺「何読んでんの？」
それなりにスムーズに会話ができるようになって来た頃。
俺はふと、今まで気になっていたAの手元の本について尋ねてみた。
「え？これ？"星の王子さま"だよ。」
渡辺「？何それ？有名？」
俺の質問が予想外だったのか、Aは大きく目を見開く。
目、でかいんだよなこいつ。
アッシュブラウンの瞳は、見ているとなんか吸い込まれそう。
なんて思って見つめてたら、Aはそんな俺に気付きもしない様子で、少しだけ頬を緩めて本の説明をし始める。
「ふふ。自分の星に薔薇の花と2人で暮らす王子さまが主人公なんだよ。薔薇と喧嘩してその星を出て、色んなところを旅するうちにたくさんの事を学んでいくの。」
渡辺「へぇー。おもしろそう。」
「私、この作品だいすきだからよく読み返すんだ。あとはね、太宰治の人間失格とか―――」
渡辺「うげ。授業みたいなやつ読むんだな。」
「ふふ、渡辺くんって反応が素直で面白いね。」
俺の反応の何が面白かったのか、Aはそう言って教室では見せないような柔らかな表情をする。
それはおそらくこの高校で、俺だけが知っている、結城Aの姿だった。
そしてそれから俺はたまに、自分の進路を検討する合間の息抜きという名目で、Aが読んでいる本について尋ねるようになった。
その都度、嫌な顔一つせずに物語のあらすじやどこが好きなのかなんてことを穏やかに楽しそうに語るAとの時間が俺はとても心地よくて。
たまに、俺でも読めるようにと二匹のリスの絵本を薦めてきたりするくらいには、冗談も言いあうような関係になっていた。
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
