case4.Knと同棲。 ページ8
[ええもんやな、ってはなし］
納得がいかない。どうして私が怒られるのか、全然わからない！
「お前！遅いやろ！」
家に帰るとコネさんがそう言った。そう言ったきり、今度は何も言わずに黙っている。
職場の飲み会で帰りが遅くなることは伝えていたし、晩御飯はラップをして冷蔵庫に入れておくことも伝えていたはずだ。
「……遅すぎるんちゃうか」
またそれか。
「いやいや、遅くなるって言ったじゃん」
「飲みすぎちゃうか」
「そんなに酔ってないって。ちゃんとここまで帰ってこれてるから！」
タクシーを使えというコネさんの言いつけは守った。むしろ褒められていいくらいでしょ。
「にしてもめずらしい、こんな時間まで起きてて」
「こんな時間言うたな！遅い自覚はあったわけや」
「いや、だから遅くなるって言ったんだけど！？」
帰りが遅いことを怒られているらしい。でもそんなの、コネさんはよくしてることなのに！
「コネさんはもっと遅いこといっぱいある」
「俺はええねん」
「なにその自分中心！」
コネさんと一緒に住み始めてまだ数か月。もう喧嘩だ。
毎日コネさんが帰ってくるのを待つのが楽しくて、美味しいって言ってくれるのが嬉しくて。
毎日あったかいご飯を用意して待ってた。
コネさんが「ええもんやな」って言って、目を細めて笑うから、私もあったかい気持ちになれていた。
なのに、一日遅くなったくらいでここまで言う？
毎日のご飯とか、私がたくさん考えてコネさんのためにやってることを、
当たり前のことだって思われたら……それはちょっとさみしいし、むかつく。
「不公平じゃん！私はいっつもコネさんのこと考えてるのに」
「お前、俺が言いたいことわかってへんな！？」
急に音立てて立ち上がるのやめて、びっくりする！
「じゃ、じゃあ何が言いたいの！」
お酒が入ってるせいか、目頭が熱くなる。
なんで、私頑張ってるのに。コネさんと住むからって、たくさん料理も覚えたのに。
一日帰るのが遅いくらいで、今までのこと全部台無しになっちゃう？嫌われてしまう？
コネさんは何かを言いかけてはやめて、を繰り返している。
「はっきり言えばいいじゃん……！」
亭主関白タイプであろうことは予想できてた。でも、あんまりじゃない！？
「危ないやろが！」
コネさんはそう言って、またイスに座りなおした。腕を組み、眉間に皺を寄せている。
……え、いや、
「危ない？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
