case6.Htと同棲。 ページ15
youside
カーテンの隙間から流れ込む日差し。
A)ん…
ゆっくりと視界を開く。そして、まつ毛を上下に2回ほど動かしてから起き上がる。時計を見る。時刻は8時を指していた。
…あ、会社。
ん？会社…
遅刻？！
A)やばいっ！
飛び起きる。スマホを持ち忙しく寝室の扉を開ける。
A)あっ…！
何も無い所でつまづき体が床にひきつけられる。これから来る衝撃に備えるため、ギュッと目を瞑る。
…が、そのような衝撃が起きない。その代わりに自分を包み込むような暖かい温もりとトーストのいい匂いが漂う。
目を開けるとそこには、大好きな彼がいた。
ht)大丈夫…？バタバタしてたけど
A)遅刻しちゃ…そう！会社遅刻しちゃう！ちょ、ごめん！離して！
彼には申し訳ないけど暴れる。
…当然のことだが私の力では彼はびくともしない。
ht)A、会社休みでしょ？
A)え？マジ？
ht)うん。昨日、それで呑んだじゃん
A)言われてみれば…
……
ht)とりあえず、リビング行こっか
A)うん
腰に回された手が解かれ、私の手を握る。
〜リビング〜
彼が先程まで吸ってたのであろう煙草の匂いがする。その匂いの中、2人で共有しているカレンダーに目を通す。
A)えーと……あ…
今日の日にちに「両方休み」と書かれていた。
ht)仕事は程々にね
痛いところをつつかれる。
A)…それなら、ひとらんもでしょ…
ht)ｳｯ…。……早く朝ご飯食べよ
A)あー！話しそらした！
ht)なんの事かな？
A)もう…
朝食が並ぶ机。机を挟むようにしてひとらんと対面で座る。
ht)それじゃあ
A/ht)いただきます
普段は冷えた10秒チャージで終わらせる朝食。
今日は出来たてのトーストやベーコンエッグ、あとサラダ。それとアイス珈琲。
今日はとても良い休日になるだろう。
…あ、そうだ今日で1年か。
月日が経つのが物凄く早い。…お互い社畜なのもあるけど(遠い目)
A)ひとらん、今日の夜は食べに行く？
ht)あ、この前、Aが行きたがってたお店予約したよ
A)え？！本当に？
ht)うん。だからそこ行こ
A)やった！
朝食を取りながら晩御飯の話をする。
会話を弾ませる2人には昨年の今日買ったお揃いのリングが──
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