case1.Grと同棲。 ページ1
時間は朝…Aはある人を起こしに寝室へ向かう。入れば静かに寝息を立て、綺麗な顔を布団に埋めている彼の姿。Aはシャッとカーテンを引くと、
『グルちゃん朝ですよー！！さっさと起きましょうね！！』
「うっあまぶし…そしてうるさ…」
うぅ…と唸りながら光を遮ろうとさらに布団に潜ろうとするがそれをAが防ぐ。
『今日もお互い仕事なんだから早く起きなさい。遅刻するよ？』
「う、ぐぅ…」
『ほらはや…きゃぁっ！』
ゆさゆさとグルッペンを揺さぶって起こそうとすればいきなり手が出てきてAを引きずり込む。すぐ目の前にキラキラした金髪と深紅の瞳が映りこんだ。
「ん…少しくらいいいだろう…ほら…お前もまだ…俺と…」
寝起きの舌っ足らずなグルッペンに思わずAはぐっと来るが時間が本当に無いので、額をペシッと叩くと、
『その手にのるもんですか。それともお腹空いたまま仕事行く気？お腹鳴って職場で恥かいても知らないからね。』
「…起きる。」
辱めを受ける自分を想像したのか眉間にシワを寄せながらむくりと起き上がった。Aもグルッペンの腕の中から抜け出すと台所へと向かい、卵を取り出しフライパンに流し込む。その傍ら包丁で野菜を切っていると、カチッとした服に身を包み髪も整えてきたグルッペンがリビングに入ってきた。
『もう少しで出来るから。待ってて。』
「あぁ、コーヒーはいつも通りでいいか？」
『うん。』
同棲し始めてから、もう数週間は経っている。お互いの好みは把握していた。朝食をテーブルに並べ、食べ始めたときにAはふとコホン、と咳き込んだ。
「…風邪か？」
『いや、ちょっとむせただけ…だと思う。』
「そうか…？ならいいんだが…何かあったらすぐ早退して病院行けよ。俺も直ぐにお前のとこ行くから。」
『大丈夫だよ！心配性だなぁ』
Aはひらひらと手を振り大丈夫だという意味合いでグルッペンに笑いかける。グルッペンは怪訝な顔をしながらも強く言うことは出来ず、お互い仕事に行く時間となり、家で別れた。
………
『けほっ…こほっ…あ、あれ？』
夕方を過ぎたあたり、職場でパソコンに向かっていると徐々に体が火照り初め、咳が激しくなってきた。体温計を借りて測るとなんと38度を超えており、これはまずいと早退して病院へ行き、薬を貰うとグルッペンに連絡をした。家に帰った時にはますます体は重く、だるくなり直ぐにベッドに飛び込んでしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
