どうせなら、同棲でも。【Hokuto.y】

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" ほくちゃんから聞いてんで！一緒に住んでるんやって？ "
「え、知ってたん？！」
" そりゃあもう直前からずーっとLINEで相談されてたんやで！始まった瞬間ぜーんぜん連絡こおへんしホント北人らしいっちゃらしいけど。ついでにAも連絡取れへんし "
「私返した気でいたんやけど…、あっほんまや私が返してへんごめん！」
" まあ二人とも楽しそ〜にしてるみたいやし、ええって！ "


まるで自分のことのように嬉しそうにニコニコしてる翔吾の片手には、最近二人の事務所から出たと噂のレモンサワーが握られている。
ぐびっと一口含む翔吾の飲みっぷりに思わず自分も飲みたくなってしまった。
いいなあ、…ほくちゃん、頼んだら買ってきてくれるかな。


" でえ〜？どうなん？同棲は！ "
「どっ…！？」
" あれ？ほくちゃん一人暮らしやもんな？二人で同棲やろ？ "
「いやいや間借りさせて貰ってる身っていうか、只の共同生活っちゅうか…」
" え？まだ付き合ってへんの？ "
「はあ？！まだも何も後にも先にもあらへんわ！」
" ええ〜そんなことないやろ "


面白おかしそうに大ブーイングをする翔吾に思わず久しぶりの関西弁も徐々にキツめになってしまう。
翔吾の揶揄い方も、長年の付き合いならではの容赦の無さで繊細さの欠片もない。
私たちにとっては、今かな〜りセンシティブな問題であると言うのに。
…いや違うな、正確には私が勝手に意識して勝手に気にしているだけだ。


" でも楽しいやろ？ほくちゃん最近料理頑張ってるしなあ〜 "
「まあ確かに一人よりは楽しいかもしれへんなあ、料理はほんまに頼りっぱなしかも」


思い返せば気を遣う、と言ってもそういうのは無いかもしれない。
料理はとっくのとうに出来ないことはバレてるしその上で任せっきりだけど、代わりに出来る家事は引き受けるようにしてる。
出掛けない日が多いけど毎日化粧はしてる、けどスッピンもとうの昔にバレてる今はもう隠すことはない。
女の子の日も、あの日以来逆に気を遣ってもらってるし…

至れり尽くせりなこの状況で、気も遣わずに過ごしてる図太い神経の女って、どうなんだろうか。
それが片思いの相手なら尚更…、まあ居心地が悪いよりはええんやろうけど。


思い返していると、画面越しの翔吾がそれすらもにこやかに見守っていたのに気付く。
ああもう、だからなんやねんその顔は。


" あ〜ええなあ！俺も彼女欲しいなあ！ "
「だから！ちゃうねんて！！」



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