レンズ越しのラブ・バイト ページ47
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腕の中の温もりが蠢くのと同時に、朝を感じるようになった。
今日もそれを合図に段々と意識が浮上してきて、俺も負けじと腕の中に温もりを閉じ込める。
このささやかな幸せをもう少しだけ堪能したいと思うのは、きっと贅沢なんかじゃない。
けどいつもと違ったのは、焦った顔のAに肩を揺すられ強制的に起こされたことだ。
「ほくちゃん起きて!やばい!今日リモート会議だった!」
「んー?」
「すっかり忘れてた、朝ごはん食べなきゃ間に合うか…、ちょ、起きて!とりあえず!」
「えーもっとねたい」
「じゃあどうぞ!私はでます!」
「おれのことすてるの?」
「拾った覚えもないけどな…」
焦ったようにそう言うAを、ひとまず仕方なく解放する。
このところリモート会議が続いたことで、2時間近くの待ても、朝の支度をするAにいかに怒られずにくっつくかも、かなり上達してきたと思う。
努力すれば、人は変われるってやつだ。
あ、ていうかそれより。
「A、それやばいよ」
「え、なに?」
「会議って知らなかったから、昨日めっちゃつけちゃった」
「…!?!?」
それ、と指差して教えてあげたのは、目に見える範囲の首から鎖骨、更にはその下にかけても存在を主張する、無数の赤い痕。
驚いて声にならない声をあげるAに、思いっきり肩を前後に揺すられた。
えっなにその反応初めて見た超可愛いどうしよう、ドキドキしてきた。
本能の赴くままに、もう一度首筋に近付いて吸い付こうとしたら、頬を掴まれた。
……もうどうせこんなんなんだから、ちょっと増えたってもう変わんないじゃん。別にいいじゃん。Aのケチ。
「コンシーラーで消えるかな、ていうかそんな時間あるか…?」
「えー、俺の愛のしるしがー」
「しばらくやめよっか」
「まってなんで!?やだ無理だって!!Aー!!!」
気にせずトイレへ向かう後ろ姿を追いかけるも、非情にも目の前で扉は閉じられ鍵も掛けられてしまった。
聞こえるように色々文句を言ってみるも、慣れたように無視される。
手応えなし、普通に水洗音まで聞こえた。
戻ってくると、いつものようにリビングに鏡をセットして急いでメイクを始めるAの膝に寝転んで強制的に膝枕してもらうが、又もや反応なし。
それどころか、スーツ上だけでいいから持ってきて!アイロンあっためて!とパシられる有様だ。
…この借りは後で絶対返してもらおーと。
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も。(プロフ) - usaさん» コメントありがとうございます!この一番もどかしい時間を楽しみながらのんびり進めていけたらと思います。更新ペースも早い方ではないですがまた覗いて頂けたらと思います(T_T)ありがとうございました! (2020年7月21日 13時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - 今回の更新もとっても面白かったです。早くほくちゃんとくっついて欲しいような、付かず離れずのもどかしい距離が楽しいような…!今後の展開も楽しみにしていますのでご自身のペースで無理せず更新がんばってくださいね。引き続き楽しみにしております! (2020年7月20日 22時) (レス) id: c80ccd6f24 (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - 飴さん» ご意見ありがとうございます^ ^長文かつストーリーが遅いことは明記させて頂いており、また趣味かつ自己満足の作品ですので読んで頂くことを強制しておりません。合わないと思いましたら読むことを辞めて頂いて構いませんよ。お時間を割いて頂きありがとうございます。 (2020年7月18日 15時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
飴 - 何度も続けてのコメントですみません。 長々と失礼なコメントで失礼致しました。 それでは...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
飴 - またまた続けてのコメントですみません...。 そして台詞の行間隔あけたほうが良いと思い ました。 行間隔が詰まっていると読みにくいので...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:も。 | 作成日時:2020年4月25日 23時