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今日も明日もその先も ページ11

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すぐ近くで聞こえる物音でだんだんと意識が浮上してくる。
それから少し遅れて窓から溢れる朝日と鳥の囀り。

目悪いからあんまり良く見えないし、目の前で蠢くそれの正体が暫く分からなかった。
目を開けるのも億劫でぼんやりした頭でちょっと考えて、それから思い当たった。

ああそうか、Aと一緒に寝たんだった。

分かってしまった瞬間、言葉にするのは難しいような気持ちで一杯になった。
ずうんと重くて、それでいてあったかい物が心のうちに広がっていくような。
久しぶりに感じる気がする、それ。


薄目を開けて見ると、Aはこちらに背を向けたまま横になっていた。
でも多分、その手にはスマホがあってうっすら光が漏れている。
寝起きにスマホとか若者だなあと人のこと言えないけど思いながら、まだ寝ぼけたフリをして手を伸ばしてみた。
温もりに触れてそのまま抱き締める。
うわっ!って可愛げもない声で驚いてるのは勿論無視。
小さい背中に頬を寄せてみるとついに名前を呼ばれるけど、目を瞑って呻いてみてまだ寝ぼけたフリを続けてかわす。
服越しに伝わってくる人肌の温もりで、また胸が重たくなって体温が上がった気がする。
どうやらコレには際限がないらしい、近付けば満たされる気持ちになるけど、近付く程に嵩を増していくみたいだ。
とっても厄介だけど、その割には俺はすごく楽しんでると思う。


「起きてるでしょ」
「んー」
「ねえほくちゃん」
「…いいじゃんべつに」


開き直って見せるとはあ、と一つ溜息が漏れるのが聞こえる。
呆れられてんのかな、でも別にいいや。
Aがこんな事でどうこう思うような人じゃないことはよく分かってる。
もう少しこうしてたい。

ゆっくりした朝は久しぶりだ。
だって俺今まですごい仕事頑張って来たし、Aに会うのだって何ヶ月ぶりだろうか。
それなのに俺が会えていない間にちゃっかり翔吾とは何度か飲みに行っていた事も知っている。
それでもここまで頑張って来たのは、自分で言うのもなんだけど、すごく偉いと思うし。


「起きないの?」
「いまなんじ?」
「んーもうすぐお昼くらいかな」
「あーおなかすいたね」
「あ、ほくちゃん料理してるんだってね」
「なに?食べたいの?」
「え!作ってくれるの?」
「えーどうしよっかなあ」
「お役に立てるかわかりませんがお手伝いますよ」
「んーしょうがない、じゃ起きよっか」
「…じゃあまず離れよっか」
「えーー」
「自分で言ったよね?!」



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設定タグ:THERAMPAGE , 吉野北人   
作品ジャンル:恋愛
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も。(プロフ) - usaさん» コメントありがとうございます!この一番もどかしい時間を楽しみながらのんびり進めていけたらと思います。更新ペースも早い方ではないですがまた覗いて頂けたらと思います(T_T)ありがとうございました! (2020年7月21日 13時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - 今回の更新もとっても面白かったです。早くほくちゃんとくっついて欲しいような、付かず離れずのもどかしい距離が楽しいような…!今後の展開も楽しみにしていますのでご自身のペースで無理せず更新がんばってくださいね。引き続き楽しみにしております! (2020年7月20日 22時) (レス) id: c80ccd6f24 (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - 飴さん» ご意見ありがとうございます^ ^長文かつストーリーが遅いことは明記させて頂いており、また趣味かつ自己満足の作品ですので読んで頂くことを強制しておりません。合わないと思いましたら読むことを辞めて頂いて構いませんよ。お時間を割いて頂きありがとうございます。 (2020年7月18日 15時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
- 何度も続けてのコメントですみません。 長々と失礼なコメントで失礼致しました。 それでは...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
- またまた続けてのコメントですみません...。 そして台詞の行間隔あけたほうが良いと思い ました。 行間隔が詰まっていると読みにくいので...。 (2020年7月17日 19時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:も。 | 作成日時:2020年4月25日 23時

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