時透無一郎の許嫁 弐

５３　伝えたいこと ページ26

〜Aside〜

A『言えないのなら、無一郎の事、
信じない。』


自分の口からこぼれ出た言葉に驚く。

信じない？
え？



普通、人の秘密なんかに口出ししようとは
思わないし、
ましては相手は信頼している無一郎だ。


でも、何となく嫌だったんだ、







自分に“カクシゴト”されているという事が。



黒いモヤみたいなものが胸のうちに巣食う。





初めて感じるその感情に戸惑う。









そのせいかも。




実の姉、しのぶ姉さんにも当たってしまった。



姉さんには傷つけられたかもしれない。









けれど、やっぱり、自分の中で、







“大切な存在”であることに変わりはないもの、、、









二人とも、ごめんなさい。







こんな醜い私なんか、





嫌ってくれていいから、、、、、。


自己嫌悪に堕ち入り、下を向いていると、、、

無「伝えたいことがあるんだ。」

と言われた。



もしかして、意地を張っていた内容について？







知りたい気持ちもあるけど、他人の秘密にしたいことを無理矢理教えて貰うだなんて、、、、、


A『いi、、、 有「お前なぁ、、、、。」
ちょっと、有一郎は邪魔しないでよ！』

有「すまない。
ちょっと無一郎、借りていくぞ。」

無「兄さん、ちょっとは空気読んでよ。」

有「いいから行くぞ。」



私は廊下にしのぶ姉さんと二人きり。

気まずい空気が流れる。






沈黙を破ったのは、姉さんだった。

し「A、ごめんなさい。
そして、真実を教えて欲しいの。」




言わずもがなあの事件の事だと分かる。

A『さっきも言ったけど、なぜ今更なの？』


し「、、、私達が間違っている可能性が浮上
したからよ、、、、、、」

A『何で、何でっ、、、、！』



私の語気の強さに身を硬くする姉さん。








違う、、、、、

A『何で、皆、私の事を疑うの？！
私、何もしてないのに、、、、、！
髪の毛切られそうになったり、暴力振るわれたり、
陰口、悪口叩かれて、、、、、、。

１１の時にオリンピックに出れたのも、私の力で、
コネじゃ無いし！！！



もう嫌！！！！こんな酷い日々なんて！！！！！！』



口を開けば、言葉がすぐに出てくる。


ああ、今まで誤魔化してきたけど、
こんなに私、辛かったんだ、、、、






止めてと言えば、さらに酷くなる。

何かすると、いや、そこに居るだけで、
誹謗中傷される。



優しかったクラスメイトはおかしくなったみたいだ。

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