第一話 悪と全と噓吐きと ページ2
─遠い、遠い、昔の話。世界にはとっても悪い魔導師がいました。
その魔導師は残虐非道で強大な力を持ち、沢山の血が流れました。
しかし突如現れた正義の魔導師が彼を倒したのです─
「嗚呼、必ず見つけるからね！！」
賑やかなバディ分けの会場、黒を身に纏う男は帽子姿の使い魔と言葉を交わしていた。
その男は、理想を語っていた。
そしてその直ぐ近くで、真逆の目標を立てる少女が一人。
これは奇跡か否か、運命の悪戯により前世からの再会を果たしたのであった。
「フォリア…フォスフォール…」
黒を纏う男は呟いた。
それは、思わず出た言葉だろう。
少女は不思議そうに問う。
「…フォリア？」
男は誤魔化しの笑みを浮かべる。
そんな様子はお構いなしか、少女は表情を明るくさせて話し始めた。
「もしかして…君もフォリア様のことが好きなの！？
わた…僕も英雄伝説大好きで…彼女は憧れで…」
そんな興奮状態の彼女と、それを驚きながらも聞いていた彼の元に歩み寄る少女が現れる。
少女は光の無い瞳で二人に笑い掛けた。
「お話し中ごめんなさい。
君たち二人の仲に、一番の紙を持っている子は居ないかな？」
彼は目を見開いた。
それは、現れた少女の魔力を良く見知っていたからだ。
そんな事を知らない、気づかない彼女は嬉しそうに答えた。
「僕一番だったよ！」
一瞬だが、少女の顔が歪められた。
それに気が付いたのは彼だけだろう。
「そうなんだ…。あ、君は？」
少女は彼にも問いかける。
彼は言い難そうにしながらも答える。
「あ、あぁ、一番だよ…」
少女はニッコリと笑みを浮かべた。
それはそれは、綺麗な笑みだ。
「あ！自己紹介しないと…！」
彼女がそう言って自己紹介を始める。
「私…あ、僕、フィオ！
フィオ・ユークレース！」
それに続いて少女も自己紹介を始めた。
「A・トライゾンだよ。宜しくね」
彼も、おずおずと紹介を始める。
「…ターフェ・スフェライト。
気軽にターフェと呼んで欲しい」
こうして歴史はまた大きく動き出す。
「う、うん！こちらこそ─」
バチリと何かが施される。
「あぁ！すまない。
うちの使い魔が悪さをしたようだ」
「どうも！マスグラと申します〜☆」
驚く彼女と、どこか妬ましそうな少女に自己紹介がされる。
そして彼らはまんまと外へと出ていく。
目的を知らぬ者はたった一人だ。
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作者名：紅華 | 作成日時：2022年4月7日 19時
