【ユーリ!!!onICE】僕のそばに…【男主】

4話 ページ4

その翌日、同じ動画サイトに勝生君のヴィクトルを完全コピーした動画が、同じ投稿者によって投稿されていた。……僕が滑っていたあの場には、優子さんしかいなかったはず。そういえば、優子さんには子供がいた。それも、スケオタだというあの三つ子。……嫌な予感しかしない。僕はその予感が外れますようにと願いながら、優子さんに電話を掛けた。


「もしもし」


　繋がった。


『優子さん、勝生君の動画が、サイトにアップされているのをご存知ですか？』


「えっ……！？」


『その前日、僕は、僕が滑っている動画を見つけました。今はどう拡散されているかどうかわかりませんが、同じ投稿者で、それも貴方のアカウントがその投稿者だということもわかりました。どういうことですか？』


「あ、あの……。あのね？怒らないで聞いてほしいの」


『何ですか？』


　予感は外れてほしいと願うのだけれど、次の瞬間にその期待は裏切られた。


「私の子供が、二人の動画をアップさせちゃったの……。本当にごめんね！！！！」


　やはり……。僕はまだそれほど有名人じゃないから、いいものの、今のシーズン。勝生君にとってはあまりいいものではない。日本のファンに申し訳ないとは思わないのだろうかとは思うけれど、三つ子は勝生君が踊っているところをただただ純粋に動画を撮って、純粋に動画を投稿したのだろう。……スケオタファンに喜ばれるということは別として。


『あの動画はもちろん消したんでしょうね。僕のも含めて』


「勿論！！！だけどね、Aくんのも結構広まっているみたいで、……本当にごめんね！！！！」


『……、わかりました。後は何も言いません。忙しい時間に失礼しました。では、また……』


「あっ、Aく―――――」



――――――ブツッ……。



　僕は、スマホをベッドに上に放り投げて小さく蹲った。拡散されているとなると、あまり外を歩くことはできないだろうな。教えてくれた南くんに感謝しなきゃ。……指導してあげよう。経験者だった僕が教えるのはちょっと癪だとは思われるけれど、お礼の一つにはなるだろう。

　個人チャットに「今度、練習付き合ってあげる」とだけコメントして、電源を切った。明日でいいや。勝生くんを励ますということを口実に、温泉に行こう。
　

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