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19話 ページ22

『南くん、スピンぶれてる』


「あっ」


 全日本選手権で勇利を越して優位に立った南くんを指導するのは結構大変なことだ。ただ演技の指導はできない。それはコーチであるカナコさんとよく相談しなきゃいけないことで、部外者である僕が教えてしまっては、せっかくの南くんの輝きが台無しになってしまう。僕ができることはただ基礎を教えてあげるだけ。


『一度休憩しようか。今日が休日で良かった。平日だったら南くん学校に行っちゃうし、練習見てあげられないからね』


「おいもAさんに教えてもらってすごい嬉しか!……もう氷の上には戻らんと?」


『無理かな……何年かブランク抱えてるし、それにたとえ氷の上に戻ってきても若い世代の人たちの足元にも及ばないからね。はい、アクエリ』


「ありがとうございます」


 ベンチに座った南くんは僕より経験も豊富で長年やっているだけある。すぐにやめた僕よりも、ずっと上手。


「Aさんができるジャンプ、教えてください」


『え?僕ができるの、少ししかないけれど』


「技術はあります。昔の動画ですが、それを見たときすごい綺麗でした。勇利くんに直接教えてもらうことはできないけれど、代わりと言っては何ですが、ジャンプ、教えてください」


『……できることはしてあげるつもりだからね……。全部飛ぶから、動画に収めるなりなんなりして良いよ。靴に履き替えてくるから……』


「はい!!!」


 そういうと南くんはキラキラとしたまなざしで僕を見つめてくる。勇利のジャンプを見たほうが的確なのではと思うことがあるが、直接教えているのは現段階では僕だ。カナコさんの代わりでここにいる。がっかりさせることはできない。


 シューズに履き替えてくると、いつの間にかリンクの上にいた子供たちやその親たちはいなく、リンクを囲むように立っていた。


『……滑ってもらっていても構わないのに』


「ジャンプは危険だと言ったら皆さん退いてくれたんです」


『カナコさん……』


「Aさんのジャンプ、しっかり録画しておきますから!!」


『失敗した奴は消してね』


 そう言って僕は久しぶりに氷の上に戻ってきた。たくさん傷がついているリンクの上でとりあえず滑ってみる。滑るたびに氷が削れる音がしてとても心地がいい。


『じゃあ、簡単な奴から行くよ』

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設定タグ:ヴィクトル・ニキフォロフ , 勝生勇利 , ユーリ!!!onICE   
作品ジャンル:恋愛
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オブジェ(元はるかわ)(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年3月21日 0時) (レス) id: 58695a87c5 (このIDを非表示/違反報告)
道化師龍維(プロフ) - マリンさん» ありがとうございます!少しわかりにくい文章があったりしてすみません……。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: 0baf07c6ee (このIDを非表示/違反報告)
マリン - とっても面白いです〜〜続き楽しみにしてます!! (2017年1月22日 17時) (レス) id: 78f600e7bb (このIDを非表示/違反報告)
道化師龍維(プロフ) - 進さん» ご指摘ありがとうございます!すみませんでした。 (2017年1月5日 15時) (レス) id: 6c38952fe1 (このIDを非表示/違反報告)
道化師龍維(プロフ) - 鯨さん» ご指摘ありがとうございます! (2017年1月5日 15時) (レス) id: 6c38952fe1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:道化師龍維 | 作成日時:2017年1月2日 22時

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