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11話 ページ13

朝方、自分のスマホが鳴る音が聞こえて、勇利を起こさないように自分のスマホを取り出し寒い廊下に一歩出した。画面に出てきた文字は”クリス”。ネット上で友達になったスイスのスケーター選手。僕とクリスがSNSでお話ししていると、空リプで僕を中傷させるような言葉が多々ある。そんなことは気にしないほうがいいよとクリスとお話しするぐらいだ。そのくらいと考えていいのかな?


 朝方に電話を掛けてくるということは、スイスは夜の9時頃だろう。時差は嫌だなぁ。


『もしもし、どうしたの?』


 いつの間に連絡先を交換したことはまたの機会に。


「そっちは朝方かな?こんな時間にごめんね?」


『大丈夫、ちょっと一緒に寝てた勇利を起こさないように気を付けたくらいかな』


「勇利と?へぇ、久しぶりに会えたんだ。てっきり勇利はヴィクトルと一緒に寝ているかと思ったよ」


『やっぱり、ヴィクトルが日本にきていることは誰もが知っている事実なんだね』


「あのヴィクトルが自分の選手という覚悟を放り出してまで、勇利のコーチをやるとSNSに書いてあってね。……まさかあの言葉を本気にするなんて思っていなかったよ」


『あ、そうなんだ……。あ、クリス。何で電話してきたの?』


「電話するに理由は必要?」


『そうじゃなくて、ただ……、なにか困っているんじゃないかって……。あ、ごめん』



 廊下の壁に凭れ掛かってズルズルと冷たい床に腰を落とした。ひやっとして一瞬体が震えたけれど、そんなことは今はどうでもよかった。電話越しにクリスの息をのんだ声が聞こえた。何か図星だったのかな。


「あーぁ、Aには隠し事はできないね。そう、少し相談したいことがあってね。勇利を起こさないように小声で話すから」


『ふふ、そこまで大きい声を出さない限り勇利が起きることはないよ。大丈夫』


「そう、分かった。相談っていうのはね。俺、またAが滑っているのを見てみたいと思ってね。あの動画だけじゃなくて俺の目の前で本当に……」


 今度は僕が息をのむ番だ。世界中にあの動画が広められていたなんて。それも数々のスケート関係者に。選手の人に見られていたなんて。


『僕は滑らないですよ。プロの人の目の前で滑るなんてそんなことはできない』


「それ以外にも理由があるんじゃないのかな?例えば、足の傷がまだ……」


『それ以上言ったら、たとえクリスでも怒りますよ』


 つい、敬語になってしまった。僕の悪い癖。

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設定タグ:ヴィクトル・ニキフォロフ , 勝生勇利 , ユーリ!!!onICE   
作品ジャンル:恋愛
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オブジェ(元はるかわ)(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年3月21日 0時) (レス) id: 58695a87c5 (このIDを非表示/違反報告)
道化師龍維(プロフ) - マリンさん» ありがとうございます!少しわかりにくい文章があったりしてすみません……。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: 0baf07c6ee (このIDを非表示/違反報告)
マリン - とっても面白いです〜〜続き楽しみにしてます!! (2017年1月22日 17時) (レス) id: 78f600e7bb (このIDを非表示/違反報告)
道化師龍維(プロフ) - 進さん» ご指摘ありがとうございます!すみませんでした。 (2017年1月5日 15時) (レス) id: 6c38952fe1 (このIDを非表示/違反報告)
道化師龍維(プロフ) - 鯨さん» ご指摘ありがとうございます! (2017年1月5日 15時) (レス) id: 6c38952fe1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:道化師龍維 | 作成日時:2017年1月2日 22時

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