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3話 ページ3

金木くんと話をしながら時間を潰す



聞くところによると彼は臓器移植によって
最近喰種になったらしく
しかも、世にも珍しい隻眼の喰種ときた




「災難だったねぇ…
よりにもよってリゼのを移植だなんて
運が悪いとしか言いようがない」




────ガタンっ



金木くんが椅子から勢いよく立ち上がる




「リゼさんを知ってるんですか!?」




あまりの剣幕に
若干引きながらも頷く




「う、うん…と言ってもリゼには嫌われてたし
俺もあまり好きではなかったな」




そう言うと目に見えて
しゅんとする金木くん
…なんだか悪い事をした気分





空気を変えるため
無理やり話を転換する




「そっ…そういえばさぁ」




















────ガチャ







ドアの方を見ると見慣れた顔






「てんちょー!久しぶり」



「…何日食べていないんだ?」





で、ですよねー
言われるって分かってた
うん、知ってた



でもここに来る度言われるのは
正直少しうんざりする




「うーん…4日ぐらい……かな?」




はぁ…と、大きくため息をつかれる







「えっ…!Aさん大丈夫なんですか!?」





金木くんが心配そうに俺を見上げる





「へーきへーき、慣れてるからね」





店長が金木くんに近づく






「金木くん…彼は人を喰べない喰種なんだ
だからといって共喰いもしない」


「いや、共喰いと言っていいのかもしれない
普通我々喰種は人間を喰べ飢えを満たす
しかし、彼は自らを喰らうことで飢えを満たす」




金木くんの目が
驚きで見開かれる



「金木くんはさぁ、人を喰べたくないんだよね?
なら、あまりおすすめはしないけど
俺のように自給自足で飢えをしのぐことも出来る」




「俺らの身体は丈夫だから無くなっても
すぐに生えてくる
金木くんは確か鱗赫だったよね?
鱗赫の喰種は再生能力が高いから
その気になればいつでもお腹いっぱいになれるよ?」




「そうすれば誰も傷つけずに済む
でも、代わりに傷つくのは自分

独りよがりの只の偽善者になれるなら
俺はいいと思うよ」





俯いた金木くんの手は白くなるほど
固く握りこまれている




「俺の話はしゅーりょー!
さすがにお腹すいたからそろそろ帰るね」






ドアから退場する









……………帰り菫香に聞いたところ
やっぱり砂糖はわざとだったらしい




あいつ…許さん!!

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作者名:鶯難民 | 作成日時:2018年6月28日 0時

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