合法的に、真っ直ぐに【ヒロアカ】 (ページ2)

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本日ページ2

生卵、ご飯(酒米)、ご近所から貰った野菜で作ったサラダ。
入試当日の朝といえど、うちの質素な食事は変わらない。

「…A、体調は万全か？」

「うん、ばっちし」

生卵をご飯の上に割りながら、
心配そうに尋ねる父さんに笑顔を向けると、「それならよかった」と安心したように息をついた。

割った卵をご飯の上で混ぜると、白い酒米が卵黄の黄色に染まる。その上にちょんちょんと醤油を垂らすと、普通の白飯で作った卵かけご飯みたいだ。

「ごめんねぇ、大事な入試の日だっていうのにこんなご飯で…」

「だーいじょうぶだって！
むしろいつも通りの朝ごはんって感じで安心できるよ」

茶碗を傾け卵かけご飯を勢いよく掻っ込み、締めにサラダをむしゃむしゃと完食する。

「ごちそうさま！！」

パン、と手を合わせて席を立つと、「A」と父さんが私を呼び止めた。

「出るならお祖父ちゃんたちに挨拶して行きなさい」

「うん」

部屋から出て、古くてギシギシの廊下をパタパタと小走りで渡る。

竹の柄の襖。この部屋がじいちゃんたちの部屋だ。

スリッパを部屋の前で脱ぎ捨てて、
畳の部屋の、大きな仏壇の前にぺたんと座った。

「…あのね、今日私、入学試験なんだ」

神の涙が供えられたそこには、笑顔のじいちゃんとばあちゃんの写真。
部屋の壁の上あたりには、神の涙を手がけ続けてきた先代たちの写真が飾ってあった。

マッチで仏壇にある蝋燭に火をつけ、線香をかざす。
先端が真っ赤になったそれを灰にさすと、灰の匂いと古っぽい線香の懐かしい匂いが混じり合って鼻を抜け、入試前の緊張とか興奮とかが少し落ち着いたような気がした。

「…大じいちゃんの分からだから、いっぱいした方がいいかな」

ちらり、と先代たちの写真を見やり、
「一本だけじゃ寂しいもんね」と、火にかざした線香をサクサクとたくさん灰にさす。
棒を手にとり、お椀型のなんか鳴るやつの縁を叩くと、チーーーンと澄んだ音が部屋の中に響いた。

「…頑張るよ、私！」

パン！と勢いよく手を合わせ、ご先祖様たちに大きな声で宣誓する。

「かっこよくて尊敬されるようなヒーローになって…
神の涙の名前を日本中…いや、世界中に轟かせるよ！！」

邪極まりないこの野望。

それを叶えるために私、神酒屋(みきや)Aは本日、日本最高峰と謳われる雄英高校ヒーロー科を受験します。