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79.事情 ページ28

隠し子
托卵
買われた子

別にこの一年生にまつわるゲス極まりない噂を信じていたわけではなかったが、その顔を見た時、なるほどなと一人納得したのも事実だった。

彼の父親は呪術界の外交の要を担う上層部の一人であり、母親も、その補佐を務めていたため何度か高専で顔を見たことはあった。
去年まで高専に在籍していた彼の兄と姉はその二人の特徴をよく受け継いだ顔立ちをしていたのに対し
唯一彼だけは、住吉家の誰にも似ていなかった。


「…一年の住吉Aです」

不機嫌そうに住吉と名乗ったそいつは、首だけ丸めて小さく会釈し、差し出した俺の手を無視して手元の資料にまた視線を戻してしまった。

なんだこのクソ生意気はと思ってしまったのも仕方ないことだと思う。

だが、呪術師というのはカスみたいな性根の奴はたくさんいる。こんなことで怒っていてはやっていられない。
だから、先輩らしく、優しく、隣に座って声をかけようとしたのに住吉は俺が近づいた分一歩横にずれて離れていった。この野郎。

「おい!オマエ先輩に対して…」

「ここの猫たちってなんで捨てられたんすか」

「は」

文句の一つでも言ってやろうと思ったのに、
予想外の方向からの質問に思わず気の抜けた声が出てしまった。

「なんでってそりゃあ…色々事情があるんだろ」

「事情…」

「引っ越しとか、家計の都合とか…まぁ、いずれにしても無責任な行為だと思うよ」

住吉がやけにしょぼくれた様子で、足元の猫たちを見てるもんだから「もしかして猫好きだった?」と聞けば「別に」とそっけない返事が返ってきた。

「哺乳類も爬虫類も昆虫類も生き物全般貴賎なく苦手です」

「じゃあなんでんなこと気にしてんだよ」

そう尋ねると、住吉は資料をめくる指をピタリと止め、口を真一文字にキュッと結んだ。

「…どうして、置いていかれたのか知りたかったんです」

そう住吉が言ったすぐあと、
黒いスーツを身にまとった補助監督が俺たちに声をかけてきた。

「猪野くん、住吉くん、帳を張り終えました」

80.豚骨→←78.噂話



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花梨 - とても面白いですね! 更新、大変だと思いますが自分のペースで頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦の作品を書いてますが良かったら作品の題名を教えますか? (2022年6月6日 16時) (レス) id: 8e5a2f605a (このIDを非表示/違反報告)
田田田(プロフ) - 雪月花さん» いつもありがとうございます。雪月花さんのコメントが届くたびに書こうという気持ちが湧きます。更新頑張ります。 (2022年2月3日 3時) (レス) id: 225ebf53bb (このIDを非表示/違反報告)
雪月花 - 田田田さん» 大好きな作品なので更新されてるととても嬉しいです!作者さんのペースでいいので更新頑張ってください!!いつまでも待ってます!住吉くんの手榴弾………威力はいかに……。 (2022年1月30日 23時) (レス) @page46 id: dcac8e28b5 (このIDを非表示/違反報告)
田田田(プロフ) - 雪月花さん» 雪月花さん、いつも更新のたびにコメントを残してくださりありがとうございます。遅い更新なのに根気強く応援してくださってとても励みになっております。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2022年1月23日 14時) (レス) id: 225ebf53bb (このIDを非表示/違反報告)
雪月花 - 面白いです!!続き待ってます!!七海さん!!マジナイス!住吉くんガンバレー! (2022年1月19日 1時) (レス) @page44 id: dcac8e28b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田田田 | 作成日時:2021年1月6日 20時

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