78.噂話 ページ27
愛想の悪い奴。
それは、当初俺が住吉Aに抱いていた正直な印象だった。
2015年、4月。
俺は晴れて四年生になり、卒業までの約一年間あるモラトリアムを謳歌しようとしていた矢先のことだった。
ある日の昼休み、担任にこそこそと手招きで呼び出された俺は連れてかれるまま、学長室の扉を開けた。
そこには、夜蛾学長と一年の担任である五条先生が渋い顔で立っていた。
聞けば、ある一年の任務の同行を、俺に頼みたいのだという。
一年の初任務への同行は二年か三年の仕事で、本来ならば四年が介入する話ではない。
どうしてそんな例外措置を取るのかと疑問に思っていたが、その一年の名前を聞いてすぐにピンときた。
住吉 A
前歴なし。術式不明。
禪院の分家の次男であるにも関わらず、親戚の集まりにも顔を出したことはほとんどなく
そのせいで、禪院の当主が隠し子を住吉に預けているのだとか、住吉の妻が不義の子を托卵したのだとか、一般人の家から術式を持った子を金で買ったのだとか…
陰謀論めいたものから三流ゴシップのような下世話なものまで、とにかく彼の出自にまつわる悪い噂は絶えず、やんごとなき家系の出の術師は皆彼を避けているようだった。
そんなわけで最初は特にその一年に対して何も思ってなかった二、三年たちも同行依頼が来た途端、実家から何を吹き込まれたんだか妙に住吉Aという名前に警戒を示すようになってしまった。
学長曰く、二、三年を勝手に指名して向かわせることもできたらしいのだが、
そんな疑心暗鬼な状態の人間を初任務の同行者にさせるのはいくらなんでも一年生には酷だと判断したようだ。
ちなみに俺が選ばれた理由をあとで五条先生に聞いたところ「琢真はほどよくテキトーだからあんまりそういうこと気にしないでしょ？」とのこと。
そんなこんなで任務当日。
呪霊の発生場所は東京郊外にある高架下。
その場所は、昔から猫が捨てられる場所として有名で、恐らく捨てた人間の後ろめたさから生まれた三級相当の呪霊になったのだろうということだった。
現場に足を踏み入れると、
案の定そこには猫たちの住処になっていて、
その中で、コンクリの上にしゃがみながら資料をめくる高専生の姿があった。
「今日の任務に同行する四年の猪野琢真だ」
その姿に近づいて、「よろしくな」と手を差し出す。
すると噂の一年は手元の資料から目線を外し
じっ、と野生動物のようにこちらを観察する様に俺の姿を見つめた。
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花梨 - とても面白いですね！ 更新、大変だと思いますが自分のペースで頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦の作品を書いてますが良かったら作品の題名を教えますか？ (2022年6月6日 16時) (
レス) id: 8e5a2f605a (このIDを非表示/違反報告)
田田田(プロフ) - 雪月花さん» いつもありがとうございます。雪月花さんのコメントが届くたびに書こうという気持ちが湧きます。更新頑張ります。 (2022年2月3日 3時) (レス) id: 225ebf53bb (このIDを非表示/違反報告)
雪月花 - 田田田さん» 大好きな作品なので更新されてるととても嬉しいです！作者さんのペースでいいので更新頑張ってください！！いつまでも待ってます！住吉くんの手榴弾………威力はいかに……。 (2022年1月30日 23時) (レス) @page46 id: dcac8e28b5 (このIDを非表示/違反報告)
田田田(プロフ) - 雪月花さん» 雪月花さん、いつも更新のたびにコメントを残してくださりありがとうございます。遅い更新なのに根気強く応援してくださってとても励みになっております。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2022年1月23日 14時) (レス) id: 225ebf53bb (このIDを非表示/違反報告)
雪月花 - 面白いです！！続き待ってます！！七海さん！！マジナイス！住吉くんガンバレー！ (2022年1月19日 1時) (レス) @page44 id: dcac8e28b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田田田 | 作成日時：2021年1月6日 20時
