うそ ページ18
『私、ほんまはな』
彼女の声が、声だけが聞こえる。
流れ落ちた最後の流星群が、瞬いた。
それとともに君の目からも、何かが落ちた。
『自分はもうええと思ってる』
「は?」
もうそんな声しか出なかった。
1番、聞きたくない言葉を聞いてしまったから。
Aの髪が風に揺れた。もう、こんなに伸びてたんや。
『わかるやろ?こんな、生きることに執着せんでええかなって』
「わからんよ」
『わかって……?』
「……わかれへんよ」
なんや、それ。泣いてるくせに。本当は寂しいくせに。
そんなこと言うなや。
『私も、ずっと信じてきたんやけど。』
「……」
『信じることが、辛くなってきた』
俺は、ずっと信じてる。Aはきっと完治して、また俺と────
『ごめんな、遥輝くん』
「ごめん、やないわ」
『っ、』
「お前が信じてるのが、俺の唯一の支えやったのに」
自分自身が信じてるから、俺かて信じれたのに。
『ごめん』
「もう知らんで……」
『遥輝くん……泣かんといて』
泣いてることに、気づかないまま。
Aの声で頬が濡れていることに気づく。
「なんで、?」
『もう、遥輝くんに迷惑かけられん』
「そんな、迷惑やない」
『嘘つけ』
嘘、やない。
Aがいるから、野球も頑張れるのに────。
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haruki07 - とてもいいお話ですね。心理描写が綺麗です。更新頑張ってください! (2018年7月5日 16時) (レス) id: 8c35a745f8 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - 感動的な導入文に惹かれました。これからのお話の更新も楽しみにしています。 (2018年7月5日 15時) (レス) id: c78cf8c693 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆ | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/yuyu_10
作成日時:2018年7月5日 10時