拝 啓 、愛 す る き み へ

流星群 ページ16

『遥輝くん！！』

｢え？｣

『屋上、行こ！』


よくわからん。急に俺の手を取ったかと思えば、走り出す。
点滴、取れとるやん。それに、こんな走って心臓に悪ないの？
俺を引くだけの力があったんか？見とる看護師さんは何も言わんのか？


『見てよ、この空』

｢わ、すご……｣

『今日流星群なんやて！！』

｢それ抜きでも綺麗やな｣

『昨日、初めて来てん……ほんま、ええやろ！』


月明かりに照らされたAの笑顔が輝いている。
久々に見たかもしれない、飾らない笑顔。


『何時からやっけ…？確かもうちょっとで来るはず』

｢こんなええ場所やったんや……｣

『ほら、あれちゃう？』

｢あ、｣


Aが指さした先には、空から落ちてく星。
その周りでもだんだん星が落ち始める。


『ここ周りに高い建物ないからほんま綺麗なんよ』

｢……初めてや｣

『なんか願わんともったいないなぁ』



願うことなんて、決まってる。



『ファイターズが優勝しますように！！！』

｢Aの手術が上手く行きますように！｣


両方、叶えたいこと。


『ファイターズちゃうん？』

｢両方大切やん、二人とも違う方がお得やろ？｣

｢……せやな｣


そう、聞きたいこと。



｢あんな走ってよかったん？｣

『ん、最近調子ええらしいねん』

｢……そか｣

『ちょっと無理してもいいかなって』


｢願いごと、叶うとええな｣

『……ほんまやな』



お互いがお互いのことを想ってる。

こんな関係が、ずっと続けばいいのに。

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