大事なこと ページ11
『ねぇ、はるきくん?』
「?」
『……なんでもない、やめた』
「うん」
普段からあまり弱音を吐かないAだから、こんな風に寂しそうな声を出すのは珍しいことだった。ちょっと心配になる。
『日ハムすごいやん、2位維持してるし』
「まぁ1位がええんやけどね」
『それと!遥輝くん、盗塁』
「あぁ、」
今んとこええ位置に着いている。
もしかしたら、タイトルも────
『優勝、見られるかな』
「見られるって、俺ら頑張るから」
『見たい、なぁ』
「せやから」
『私も、頑張らないといけないの』
「え?」
Aが、頑張る?
それって。
病気のことやろ?
『遥輝くん、あのね』
「うん」
『わたし、、手術受けなあかんねん』
驚いた。そんなこと、考えてなかった。
……いや、考えては、いた。
考えないようにしていた。
Aがいなくなるかもしれない事実を、受け止めたくなかったから。
だから、俺は何も言えなくて、
『ごめんな。こんなこと、急に』
「……なんで?」
『聞かされたねん。もう、だいぶ進行してて……手術受けな、発作とか酷くなって……生きられんかもしれん、って────でもな』
「……」
『成功率、かなり低いんやって』
「A……」
『ちょうど日本シリーズ位の時期らしいねんけど』
あの声、それが理由か。
Aが、いなくなる。
そう考えただけで、
「あかんわ……」
119人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
haruki07 - とてもいいお話ですね。心理描写が綺麗です。更新頑張ってください! (2018年7月5日 16時) (レス) id: 8c35a745f8 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - 感動的な導入文に惹かれました。これからのお話の更新も楽しみにしています。 (2018年7月5日 15時) (レス) id: c78cf8c693 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆゆ | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/yuyu_10
作成日時:2018年7月5日 10時