玉響 ページ5
「君って英国人には珍しい髪色だよね」
月夜
この世から消し去った悪魔の死体と証拠を隠滅するために屋敷中にオイルを撒いている途中
この計画の立案者たる赤き双眸の悪魔が、完全にその場の空気を無視してそう言った
「....今さら何？」
血に汚れた手を水道で洗い流す美しい魔女が、忌々しげにそう答えた。
今まで散々自分を手のひらで転がしてきたこの男を前にすると、些細な会話の内容もどれほど悪どい計画に利用する気かと疑ってしまうのだ
「いや、....君によく似た人を知っていてね
人生や性格はまるで違うけど、顔の作りや体格が」
「何よそれ
まさか、私をその女に変装でもさせようと？
身代わりにでもする気かしら」
「....分かってはいたけれど、
君の中で僕は本当に人間の最底辺という位置づけみたいだね」
「残念、ハズレよ。正解は悪魔」
魔女のジャックナイフのような言葉が容赦なく男に狙いを定めてその首を狙うが、そんな悪意も男はしらりと交わして手を動かす。
「いや違うわ
悪魔の皮をかぶった哀れな人間....ってとこね」
「....」
荒々しい性格の彼女は常に我が道を行く。
しかし妙に鋭く頭が切れるところがウィリアムの手を妬かせるポイントなのである。
「貴方は私を便利な駒として利用しているつもりかもしれないけれど....
最後の最後にきっと非情になれなくてその身を滅ぼす時が来る」
「....なるほど、参考になったよ
どうやら君と"彼女"は、考え方が似ているらしい」
訳の分からないことを口にする男に蝋燭の火を落とす手を止めて後ろを振り向くと、彼の顔は僅かに悲愴に歪められていた。
らしくない男の様子に若干困惑の表情を浮かべる魔女の人間らしい顔に、ウィリアムはもう一人の彼女の姿を重ねる。
地獄の業火が全てを焼き尽くす。
この世に蔓延る全ての悪魔を地の底へ引きずり降ろすために
音を立てて崩れ落ちてゆく屋敷を瞳に写し込み、魔女と悪魔はその姿を眩ませた。
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作者 - パスワードを忘れてしまって、別で作り直しました笑同じ名前です。お手数ですがそちらからお願いします (2021年3月21日 23時) (
レス) id: 825dce0689 (このIDを非表示/違反報告)
そち。 - 更新されませんか？ (2021年3月21日 1時) (レス) id: aef3ed9d84 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2021年2月2日 20時
