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スタッフの声に、松村北斗がすぐ離れた後、
はぁ、と大きなため息を吐き出す。
心臓がバクバクする。
「5分後、ベットシーンの撮影入ります」
『「はい」』
「Aさん、少しヘアメイクなおさせていただきますね」
メイクスタッフが額に滲む汗を拭き取りながら、私に伝える。
お願いしますと小さく呟く中5分後に迫るベットシーンに心が騒つく。
もう私は無理かもしれない。
いや、でもこれもインフルエンサーとして成功するため。
がんばれ私
松村北斗に負けるな私
「それでは撮影再開しまーす」
その声と同時に、同じくヘアメイクを直されていた松村北斗がスタッフさんに「どうも」と告げてから、私の隣に座り込んだ。
「緊張しますね」
と、一言。
え？私に言ってんの？
私は緊張どころか、心臓が胸からはち切れそうなのですが。
こんな近くに異性が来たことない。
『……ですね…』
しか返せなかった。
「それでは、Aさん、ベットに横たわっていただいて、松村さんは上に、」
私がすぐ横たわると、松村北斗は上にのっかってきた。
「そうそう、そういう感じで」
私の顎に手を添えて、ランジェリーの方のひもに手をかける。
カメラの鳴る音と、
彼の吐息。
私の目をじっと見つめる彼の目と、
私の肌に触れる彼の肌。
そして、ゆっくりと脱がされるランジェリー。
彼の顔が徐々に近づき、唇が触れるか触れないかの距離までくる。
いくら、前は撮影専用の洋服で隠しているとしても、肌は出ている。
『…っ、ぁ…』
すーっと腰のラインを伝う彼の指に思わず声が出た。
鳴り止まないカメラのシャッター音に、松村北斗に持っていかれそうになる意識を必死で保つ。
「はい、オッケーです！」
その言葉と同時に離れる彼と、また慌ただしく片付けを始めるスタッフたち。
そのよそで、少し放心状態の私。
今、
「お疲れ様でした」
その一言だけ告げて、スタジオを後にする松村北斗。
「Aさん、お疲れ様です！寒かったですよねー」
女性スタッフが起き上がった私にバスローブを巻いてくださって、私はそれで身を隠す。
唇の手を触れ、先ほど起こったことに頭を整理させる。
今、唇触れたよね
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作者名：Haylee :D | 作成日時：2023年2月3日 18時
