あなたと私とでは全然違うの (ページ13)

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『ごめんなさい、無理です』

ジャニーズと“仲良く”なんてできるわけがない。

ましてや、これから私は本気でインフルエンサーとして活躍していくつもりだから。

デビューして数年しか経っていないグループのメンバーに手を出すほどの勇気はない。

これで文春なんかに撮られて話題にされたらたまったもんじゃない。

自分のことを考えて、私は自分を守ることにした。

『お邪魔しました。帰ります』

私の答えへの彼の返事はなかった

彼の表情も見れなかった私は、そそくさと身支度をし、彼のマンションを後にした。

ー＊ー＊ー

自宅に帰り着くまで、彼の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。

私のことを一緒に仕事する前から知っていたこと。

多分、この前のananの仕事ももしかしたら、彼が私を相手役に決めたのかもしれない。

やっと舞い込んできたチャンスかと思ったのに、コネ出世みたいなもんだった。

私はあの仕事を実力で勝ち取ったわけではなかった。

その事実がどうしようもなく悔しいのと同時に、

安堵もあった。

私がインフルエンサーとして頑張ってきたから、彼の目につき、ananの仕事も獲得できた。

彼に感謝の気持ちを伝えなければいけないのかもしれない。

だけど、だけど、どうしても、悔しい。

ジャニーズのおかげでananと仕事ができた。

今後もこういう仕事がないとしたら、そう言われる。

マネージャーのいない私はどこか事務所に入らない限り自分で自分を売り込んで仕事を探さなければいけない。

と言うことはやはり…。

“さっきはごめんなさい。

もう一度、近日中にお会いできませんか”

送信ボタンを押し、スマホの電源を切る。

自分に嫌気が差しながらも、今後の自分へのエールを送る。