大事な選択 ページ26
体育祭が終わり、定期テストも終わり、今年が去年に変わっても私は変わらず、似たり寄ったりの日常を過ごした。何時までも西園寺のことで悩んでいられないし、目先のやらなきゃいけないことに没頭していれば、自然に忘れてしまえた。
良い兆候だ。もう二度とあの人に関わらなければいい。
固い誓いは、１月、灰雪が降る帰り道で破られた。
・・・近所の公園のベンチでうな垂れる西園寺を発見してしまったから。
いつもは下校中に下を見て歩いていたけれど、今日は珍しく雪が降っていたのできょろきょろしていたところ、見慣れた白銀の髪に白い雪が積もっているのを見てしまった。頭の上の積雪の高さから推測して、西園寺は何十分もああしていたらしい。
「あの人は一体どうしたの」
呟いてみるも答える声もなく。西園寺は自分に背を向ける形で俯いており、顔色は伺えない。でも酷く落ち込んでいるように感じた。
泣いているのかも知れない。
声を掛けようとして、逡巡する。今私が行った所で不快にさせるだけだろう。酷い事だって沢山言った私にそんな資格があるとも思えない。
(見なかったふりで帰ろう。失礼な私なんかより、前田さんに心配されたいだろうし！)
自分に言い聞かせて一歩踏み出してみるけれど、もやもやして。
(もうどうにでもなれ)
そう思って早歩きであの人のもとに近づく。
「ちょっと！そこの落ち込んでる方！」
「え・・・おうん？どうして此処に」
驚いたように肩を震わせ、西園寺に積もった雪は音を立てずに落ちた。顔を上げた西園寺の赤くなった目に少し怯むけれど、続ける。
「雪が降ってる日に、そんな寒そうな仕事服で、傘も指さずに座ってたら風邪を引くのも道理です！もし風邪で休んだりしたら、貴方が受け持っているクラスの生徒達に迷惑をかけます。プロの教師失格ですよ」
「きょうししっかく・・・」
「そうです。そういうのは善くないと思います。だから即刻家に帰ってお風呂に入る事を提言します」
「・・・」
「それでは」
何の為に来たんだ私！
でもさっきまで泣いていただろう西園寺の赤い目に見られると、どうしたんですかなんて迂闊に言えなくなってしまって。
踵を返し去ろうとする私を、
「確かに俺、教師失格だよなあ・・・」
と言う声が引きとめた。
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茂木サカナ - そうですね。学園ハンサムは占ツクではまだまだマイナーなので、これから西園寺さんたちの活躍する話がどんどん増えてほしいです！ (2018年5月18日 20時) (
レス) id: 10d180f801 (このIDを非表示/違反報告)
ハニトン！（別垢）(プロフ) - これからもハンサムな小説が増え続けるといいですね！ (2018年4月21日 11時) (レス) id: baf5146a2f (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。励ましの言葉大変恐縮です。頑張ります (2018年2月28日 18時) (レス) id: 609f4ec12b (このIDを非表示/違反報告)
夏川なずな - コメント失礼します！とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張って (2018年2月27日 15時) (レス) id: ceafb5d2c9 (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。ご期待に沿えられるよう、ぼちぼち頑張りますので、気長にお付き合いくださいませ。 (2018年2月9日 19時) (レス) id: 6917fa2426 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茂木サカナ | 作成日時：2018年1月1日 23時
