最悪な夏休み ページ17
あれから何事も無いように、予定通りに時は進んで、夏休みに入った。
西園寺にはずっと会っていない。ちらりと見かけたことすらなかった。私が避けているからだ。・・・とはいっても、私が知らないだけで、あの人も同じように私を避けているかもしれない。
避けようとすれば簡単に会えなくなる。こんな脆い関係に、私は何を期待していたの？
余計な考えを振り払うように机上の国語のテキストの小説に目を落とすけれど、文字を滑っているだけで何も頭に入らない。１０分前に開いた宿題は、開いたときのまま、少しも埋まっていなかった。得意教科ですらこのざまなら、宿題なんか出来はしない。ため息をついてテキストを閉じた。
「おうん」
メゾソプラノの声がした。声の主は、私が宿題に集中できない原因を作っている人その２、久しぶりに家に帰ってきた母だ。
この数年ずっと一人でいたせいか、家に他の他人の気配があるのは不思議なかんじがする。暫く顔を合わせていないから、どう接すれば好いか、距離感の掴み方もいまいちよく判らない。
・・・と、母が涼しい顔で「久々に休暇をもらえたの」と、前触れなしに家に入り込んだ３日前はもやもやしていたけれど、すぐに杞憂だと気付いた。
母は放任主義者なのだ。
同じ家にいようが、大事な用件がなければ話しかけない。久々の再開に感慨に浸ることも無ければ、夕食の席で家族団らんをすることもない。
母と接する機会なんてほぼ無いんだから、接し方なんて考える意味などない。完全に失念していた。
そんな母が話しかけてくるとは、どういう用件だろう。何だか面倒ごとのにおいがする。
「おじいちゃん家に来ていいよって言ってたの。夏休みの間泊まっていかないの？って。そっちのほうが、私も何かと安心だし。そうしてもらえる」
勧誘じゃなくて、命令形だ。
自分のほうが家に押しかけておいて、私を厄介払いするのは筋違いでしょ、・・・と言う元気もないので黙って頷く。
そして不満をぶつける代わりに、我侭な娘を持つのも大変なのだなあと、昔から託児所代わりにされてきたおじいちゃんを偲ぶ。
おじいちゃんには申し訳ないけれど、気持ちを切り替えるのに良い機会だ。ここにはあの人を連想させるものが多すぎる。行きつけのスーパーも、近所の公園も。
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茂木サカナ - そうですね。学園ハンサムは占ツクではまだまだマイナーなので、これから西園寺さんたちの活躍する話がどんどん増えてほしいです！ (2018年5月18日 20時) (
レス) id: 10d180f801 (このIDを非表示/違反報告)
ハニトン！（別垢）(プロフ) - これからもハンサムな小説が増え続けるといいですね！ (2018年4月21日 11時) (レス) id: baf5146a2f (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。励ましの言葉大変恐縮です。頑張ります (2018年2月28日 18時) (レス) id: 609f4ec12b (このIDを非表示/違反報告)
夏川なずな - コメント失礼します！とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張って (2018年2月27日 15時) (レス) id: ceafb5d2c9 (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。ご期待に沿えられるよう、ぼちぼち頑張りますので、気長にお付き合いくださいませ。 (2018年2月9日 19時) (レス) id: 6917fa2426 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茂木サカナ | 作成日時：2018年1月1日 23時
