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「はい、西園寺スペシャルな」
約２０分後に出てきたのは、半熟卵が乗ったカルボナーラだった。
「頂きます」
「おう、召し上がれ！」
おずおずとフォークを持ち、麺を巻いて口に運ぶ。
・・・うん。西園寺スペシャルって聞いて少し身構えたけれど、濃厚でマイルドなソースも、ペッパーの辛さも、きし麺状のパスタ麺の湯で加減も文句の付け所なく、
「・・・美味しいです」
「だろ？」
私の反応に心底嬉しそうにして笑いかけ、「じゃあ俺も食べよー」としきりに麺に息を吹きかけ冷まそうとしている西園寺。猫舌だったんだ。
食べながら私たちは色んなことを話して。
私は進路の悩みを一通り愚痴った。未だ人生経験の少ない高校生が、自分の適職を見つけるなんてほとほと不可能なんだ、とか。朝の満員電車で、重い荷物を持ってつり革に掴るときの腹筋の辛さとか、うちの高校は行事を前半に詰め込みすぎて、２学期後半以降はテストだらけだとか。
西園寺は薔薇門高校の恒例行事について教えてくれた。１年生は毎年遠足でパン工場と遊園地に行くらしい。不思議な取り合わせですね、と言ったら、パンのイーストに興味を持つ事で発酵学や微生物に興味を持つきっかけになるし、観覧車の垂直抗力に興味を持つ事で物理学も勉強できるのだと熱弁された。
ヘーソウナンデスカ。
話題はたくさんあって、とても楽しくて、楽しい分・・・会話と会話の間の無言の時間にふっと感傷にひたってしまう。
・・・誰かと食卓を囲むのは、何時ぶりだったっけ。
父が未だ生きていた頃、母が駆け出しのカメラマンだった頃。私が今より素直で、無知で、おじいちゃんに褒めてもらったからって単純な理由で「絵描きになる」って言ってた頃。
顔に出すまいとカルボナーラの美味しさだけ真摯に考えようとして、１回だけ御代わりをよそって貰ていたら、いつの間にやら８時近くになっていた。そろそろお開きの時間だ。
ただでご飯を食べさせて貰っておいて何もしないのは落ち着かないので、「せめて片付けだけは手伝わせてください」と懇願して、御皿洗いをさせてもらう。キャンペーン中なのに、とぼやく声は気にしない。されっ放しが嫌な自己満足を許して欲しい。だって私は、これくらいしか感謝を伝える手段を持ち合わせていないのだから。
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茂木サカナ - そうですね。学園ハンサムは占ツクではまだまだマイナーなので、これから西園寺さんたちの活躍する話がどんどん増えてほしいです！ (2018年5月18日 20時) (
レス) id: 10d180f801 (このIDを非表示/違反報告)
ハニトン！（別垢）(プロフ) - これからもハンサムな小説が増え続けるといいですね！ (2018年4月21日 11時) (レス) id: baf5146a2f (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。励ましの言葉大変恐縮です。頑張ります (2018年2月28日 18時) (レス) id: 609f4ec12b (このIDを非表示/違反報告)
夏川なずな - コメント失礼します！とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張って (2018年2月27日 15時) (レス) id: ceafb5d2c9 (このIDを非表示/違反報告)
茂木サカナ - 有難うございます。ご期待に沿えられるよう、ぼちぼち頑張りますので、気長にお付き合いくださいませ。 (2018年2月9日 19時) (レス) id: 6917fa2426 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茂木サカナ | 作成日時：2018年1月1日 23時
