EXO短編集 (ページ33)

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お弁当ページ33

「もうジョンイン君付いて来ないでー」

JI「嫌ですー。Aヌナのお弁当、今日も分けてもらうんですから～。」

私は今会社で噂のジョンイン君から逃げている

大事な大事な自分のお弁当を守るために＿＿＿＿

そもそもジョンイン君と初めて話したのは、つい先日のことだ

その日はいつものように会社近くの公園のベンチで一人、弁当を広げて食べようと歩いていた

そしたらその隣のベンチには見覚えのある人が腕を組みながら寝ているのが見えた

(あの子、噂のジョンイン君だ)

まあ噂といっても悪い噂ではなく、入社一年目にして好成績を残し、さらにルックスが良いことから社内の女子から男子まで、また多くの年代の人間から注目を浴びているという噂

ジョンイン君の噂を私の階にいる女子達が毎日のように騒いでいることから、嫌でもその噂は耳に入ってくるし、どんな人物かだって分かってしまっう
(まあ、たしかにかっこいいけど…)

そんなジョンイン君との接近はこれが初めてで、起きてこっちに気づいたら挨拶くらいしておこうかな

それくらいにしか思っていなかった

だからベンチに座った瞬間にペットボトルを落とした時にヤバイって、ものすごく焦った

ボトッ！

という少し鈍い音がすると同時に視界の隅でジョンイン君がビクッとするのが分かった

JI「………」

(あー、こっちめちゃくちゃ見てるよ…)

「ご、ごめんなさい。お邪魔をしちゃって……」

JI「………」

(う、一応謝ったんだけどな…)

ジョンイン君は無反応で、ただこっちを見ながら腕を組んでいるだけ

だから少し無愛想な人だ、とも思った

でもそのまま見つめ合っているわけにもいかない

このままじゃこのお弁当が私のお腹に納まる前にお昼休憩が終わってしまう

だから私から顔を背け、お弁当を包んでいた布を広げ始めた

・お弁当を広げた

・さっき落としたペットボトルの蓋を開けた

・スープの蓋を開けた

・箸とスプーンも用意した

・手もおしぼりでしっかり拭いた

「よし」

テキパキと準備をして全て整った

では「頂きまー「「「ぐーーーーーっ」」」っ！」

私の小さな"頂きます"は誰かのお腹の音で掻き消された

(今のは私のお腹じゃない…うん。)

だとしたら

私の近くにいるのは…

JI「………」

ジョンイン君、やっぱりあなたしかいないよね