アルバム6 ページ31
KS「中学卒業してすぐに上京したんだ。それで沢山バイトしながらオーディション受けてさ、俳優になるために頑張ろうと思ってたんだ。」
だけど実際そんな甘いものじゃないよな_____
そう俯いて力なく笑うギョンスを見れば、どれだけ苦労したのかが分かった
KS「はじめはオーディション全落ち。審査員らは決まって"ある感情が足りない"って言って詳しくは教えてくれなくて…。
何回も同じように落ちて何回も俳優向いてないのかもって思って辞めたい時もあった。
それから半年くらいぼーっと過ごして、ある時ふっと中学のアルバムを持ってきてたのを思い出したんだ。」
KS「それからなんだ、僕が持っていなかった"ある感情"の正体がなんだか分かったのが。
それで受けたオーディションで採用されたんだ。
それがちょうど3年前だから…」
「主人公に想いを寄せている友達の役だよね?」
KS「当たり。よく覚えてるね笑」
「当たり前だよ笑ギョンスの記念すべき最初の作品だもん。」
KS「そうだね、うん…。」
にこにこ嬉しそうなギョンスを見て少し胸が痛む
ギョンスが出ると分かって毎回欠かさずに観た
その役はギョンスそのまんまの性格だった
だから、役と分かっていても優しい仕草や言葉、笑顔が主人公に向けられているのが正直辛かった
KS「役がさ、“あ、これ僕に似てるじゃん!”って笑
だから、主人公の子にある子を重ねて演じたんだ」
「ある子を…?」
KS「うん。アルバムを見返すたびに元気をくれて、あるメッセージでいつも癒してくれたある子。今思えば好きだったんだ。」
「……っ!そっか。」
そっか
そうだよね
ギョンスにだって好きな子くらい居るよね
思いっきり片想いだったんだ…
KS「連絡したかっけど、聞きそびれちゃってさ…」
「うん…」
だめだ、ギョンスの言葉が頭に入ってこない
KS「だから何も報告も出来ないし、逢えなくて…」
「うん…」
ギョンスが話す度にどんどん俯く私
今顔を上げたらこの涙が溢れてギョンスを困らせてしまう
KS「ここまで僕が頑張ってこれたのは彼女のお陰だと思ってる。お互いの夢を叶えようって」
「うん…」
KS「でさ、その子も頑張っているのを知って、凄く嬉しかったんだ。」
「うん…」
KS「だからさ、本当に逢いたかったんだ
A。」
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作者名:しず | 作成日時:2016年11月28日 17時