【文スト】最高機密の恋である

ミス ページ7

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薄暗い、湿っぽい、幽々たる空気が漂うヨコハマの一角は、想像以上に私には不向きなエリアだった


『怖すぎ、なんか出そう』


お化けや幽霊の類が滅法苦手だからして、只でさえ頗る治安が悪そうなのにその怖さは5割り増しである


地下組織が主な住民であろう其のエリアに足を踏み入れて数刻、ここにも矢張り有力な情報は無さそうで


『大人しく資料読んどきゃ善かったなあ』



とぼとぼと独り歩き乍そんな事を呟く、時刻は定時を少し過ぎた所だ

ほぼ何の成果も無い本日の調査に漏れる溜め息


――遅い、と国木田さんから電話が来る前に、今日は諦めて一旦社に戻るかな


そう思い来た道を戻り始めた時にふと、何かの気配を感じた


ほんの三人ばかりの気配。―――尾行だ


参ったなあ…


ここで騒ぎ立てて武装探偵社の人間だと面が割れては、今後のここでの調査に差し障る

なら寧ろ襲われて、助けを請う振りをしつつ情報を引き出すか、所謂潜入、という形で


…うん、危険ではあるが一番手っ取り早くて楽そうだ


そうと決まれば出来るだけ無防備に、呑気にふらふら歩いとけば後は奴さん達が＿＿＿＿



『――あ、拙い』


ゴンっと後頭部に大きな衝撃、脳が揺れる感覚で手遅れと悟る


背後からの殺気に対応するには、少々無防備が過ぎた様だ


絡まれるか或いは囲まれるか、その程度だろうと思っていた私が浅はかだった



国木田さんに怒られるなあなんて考え始めた所でプツリ、意識が途絶えた


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