第108話 ページ32
桂さんが持ってきたのはどこにでもありそうな普通のツナ缶だった。
だから私のために買ってきたとかそういうのはないだろう。だから安心した。これ以上迷惑はかけたくないし。
そして桂さんはツナ缶を開けて皿の上にツナ缶の中身を出した。
しかし…
桂「…やってしまった」
桂さんはツナ缶の中に入っている液体を抜き忘れていたせいでビチャビチャの状態で出てきた。
さらに、お皿がほぼ平らであったせいで机の上にも汁がこぼれた。
神楽「ちょっとタオル取ってくるネ‼」
神楽ちゃんはそう言ってお風呂場の方へ走っていった。
桂さんはお皿を慎重に持って台所の方へと向かっていった。
お風呂場のから帰ってきた神楽ちゃんはすぐに机の上を拭き始めた。
桂「済まない、リーダー、黒ずきん殿。うっかり忘れていた」
桂さんは台所から帰ってくると、私の足元に先ほどのお皿を置きながらそう言った。
さっきのお皿は机同様びちょびちょだったが、どうやらさっき桂さんは台所で汁を流したらしく、今はあまりびちょびちょしていない。
手を合わせることは難しいのでお辞儀をしながら
A「ニャーンニャン(いただきます)」
と言ってツナ缶を食べ始めた。
ツナを食べるのはとても久しぶりだ。このパサパサとした感じが懐かしい。
昔はツナマヨのおにぎりとかサンドイッチとかよく食べてた気がするな。
別にツナマヨが好きだったわけではないけど父さんと母さんには好きと思われていたみたいでしょっちゅう買ってきた。
いつのまにか私の目から涙が出ていた。なんでだろう。そこまで大事な思い出でもないのに。
桂「大丈夫か？黒ずきん殿。不味かったのならその辺のコンビニで…」
私は首を横に振った。不味くなんかない。むしろ美味しい。
父さんと母さんは今頃どうしているだろうか。私みたいにどこか別の世界で生きているのだろうか。
天国へ行ったのだろうか。もしくは地獄？…地獄はないか。父さんも母さんもとてもいい人だった。
爆発事故の容疑者として疑われていたが、私はそうとは思わない。
神楽「泣きたい時に泣くのがいいアルヨ、A。何があったか話しても今なら誰にも伝わらないから叫んでもいいアルヨ」
神楽ちゃんがそう言いながら私の頭を撫でてくれた。とても優しく撫でてくれた。
流石に叫びはしなかったが私はしばらくの間涙を流しながらツナを食べていた。
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さどぱか(プロフ) - ありがとうございます。土曜日の夜にはきっと更新再開すると思うので是非読んでください！更新頑張ります！ (2020年4月9日 7時) (
レス) id: c1e220a435 (このIDを非表示/違反報告)
☆神楽☆ - すごく面白いです！更新頑張って下さい！！ (2020年4月8日 19時) (レス) id: e9262c735d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さどぱか | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/O1rSdKG5jR4/
作成日時：2020年2月16日 13時
