アイドルがアイドルに恋した話 S.S

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side change




『疲れた……』
「珍しいね、勝利がすぐにそんなこと言うなんて」




音楽番組の収録が終わって楽屋に戻って
ため息をついた。





「にしても勝利よく言ったね」
『……あれは、ホントのことだし』






健人くんがニヤついて言ってくる理由はわかる。
自分でもここまで好きになるなんて思ってもなかった。



彼女を知るきっかけは次のアルバム曲でのソロ曲を考えていた頃
なかなかいいものが降りてこなくて、ほかのアーティストさんの曲をランダムで聞いていたっけ



…






「あ、それCHARMさんの曲でしょ〜？」
『CHARM、？』
「勝利知らないの？2人組の女の子のユニットだよ」




ほら、と聡がスマホで動画をみせてくる。




『＿＿＿＿…っ』





素敵な曲だった。恋愛の曲で、切なかった。





「この子が作詞してるんだって」




聡か指さした子、まるでその子自身がこの曲においての主人公のようだった。
今にも泣きそうな顔をしているのに歌声は力強くて綺麗で、一生懸命片思いをしている曲にぴったり。




「アイドルの子がこんな曲書けるなんてすごいよね、どんな恋してたんだろ」





恋、か……




「勝利も恋してみれば？」
『！健人くん…』
「俺は読んだ小説や映画の中で恋して書いてるんだよね〜。
勝利にはリアルさを入れたらもっといい曲ができると思う」
「ファンの子が好きになってくれる曲作れるよ」





確かに恋なんてデビューしてからそれらしいものはしてなかった。



「なんて、実際片思いとかしたら楽しいけど苦しいし、
しろって言われてできるもんじゃないからな……
勝利も少女漫画読む？(笑)」
『……』
「もう、俺ケンティーと恋したい…」
「おまっ(笑)」




恋はするものじゃなくて落ちるものだからね、
なんて言って聡と盛り上がっている。

取り残された俺は家に帰ると、自分のスマホでCHARMさんについて調べていた。




『AAさん……』




さっき目に止まった子の名前。
CHARMの曲を沢山聞いて、そこから彼女達にハマるのは早かった。
テレビの録画欄には彼女達がでる番組が増えたし、アルバムや雑誌だって少しずつ買うようになっていった。

楽しい……

ファンの子が俺らをすきになるのってこんな感じなんだ、と初めて理解したかもしれない。








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