08. ページ8
.
「転校したい」
「無理」
「お父さああ…………」
家に帰ってただいまよりも先に転校したいというと、今日は仕事が休みだったお父さんに一刀両断された。
パソコンに向かって何かを調べてる姿を見て、今までは仕事熱心だなくらいにしか思わなかったのに、今ではそれが複雑な心境だ。
よりにもよってなんで社長子息があの学校にいるわけ。
「お父さん、ヒルトホテルの社長ってさぁ……」
「ワタナベ社長のこと?」
「…その息子サマがうちの学校にいるんだけど…」
「ハルトくんだろ?知ってるよ。てかAも昔何度か遊んでるじゃん」
「は?昔あいつと?私が?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「言ってねーよ!!!」
お父さん、今さらっとすごいこと言った。
「そうだっけ〜?」とヘラヘラ笑ってる姿を睨んで棚から幼少期のアルバムをどっさり取ってくる。
3歳くらいのページで手が止まった。
「……ねえこれ」
「あー!そうそれそれ。懐かしいなぁ」
「なんでこんな天使があんなんに…………」
「ん?」
「なんでもない……」
口の周りにベタベタとクリームをつけた汚い私の隣でアイスを食べながらにっこり笑う美少年。
確かにどこかハルトの面影がある。
「ハルトくんのお父さんは社長だけど昔からの馴染みでね。日本と韓国を行ったり来たりしてて、あいつが渡韓する度に飲んで歩いたよ」
「…そんなに仲良いのになんでお父さんもっと上の立場に就かないの?」
「お父さん、上すぎるのはめんどくさいから今くらいの仕事が丁度いい」
「メンドクサイとは」
やっぱり人生適当だったこの人。
時計を見ると午後6時前を指していた。
撮りためていたアニメを見るために、ハルトとのツーショットが入ったアルバムを苦々しい顔で閉じて、そっと棚に戻した。
どうかハルトは私と昔一緒に遊んでたことなんて覚えてませんように。
.
836人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「TREASURE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うちゅちゅちゅじぇひょくん - コメント失礼します!今まで見たtreasureの妄想の中で一位になるくらい面白いです笑キャラも最高だし、ところどころのツッコミ?とか主人公の性格も面白いし似てるというかとにかく最高です!応援してます! (6月18日 16時) (レス) @page45 id: 30883e7dee (このIDを非表示/違反報告)
にょっぱ(プロフ) - 大車輪に毎回吹き出しちゃいます。素敵な作品を掲載して頂いてありがとうございます!これからも応援しています♡ (6月11日 23時) (レス) @page26 id: 3902eee54d (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - じぇさん» 書き手再開しました。お待たせしました。また自分のペースでちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - ?.さん» ありがとうございます。また自分のペースでちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - 千春さん» 大変お待たせしました。またちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:どりぃ | 作成日時:2021年11月14日 10時