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「転校したい………」
長い一日が終わってようやくの帰宅。
ソファに突っ伏しながら既にお決まりのセリフを吐く。
「……」
ジュンギュにゴムを渡されて、ジョンファンにちゅっちゅとキスをされて、ハルトに鎖骨に噛みつかれて、ジョンウに貞操を奪われかけた。
転校2日目からこんな波乱なことある?
「うぁぁ……」
「Aどきなさい」
「……お母さん、転校したい」
「うっさいわね!このまま吸い込むわよ!」
「情の欠片もないな!!」
掃除機で体を吸い込もうとするお母さんはきっと娘がこんなに苦しんでるなんて知らないのだろう。
いや、言いたくないけどね。ゴム渡されたとか特に。
「あんたの学校にはハルトくんがいるじゃない。あんなイケメンがいるのに何が嫌なのよ」
「イケメンなのは認める」
「彼、小さい頃から愛嬌があって可愛かったのよ」
「……そういえば私小さい頃ハルトと会ってるんでしょ?私は全然記憶にないけど」
「あー……確かに最後にあったのは小学2年生だったかしら」
「覚えてない……」
小学2年生なら記憶があってもいいと思うんだけど。
少しも思い出すことのできないハルトは一体どれだけ影の薄い人間だったんだ。
今は忘れたくても頭の中をチラつくっていうのに。
「ただいまー」
「あらあなたおかえり。早いわね」
「おかえりー」
お父さんが帰ってきてお母さんが夕食の準備を始める。
お父さんが仕事用のパソコンでソウルの観光名所について調べていて、「お客さんの観光案内?」と聞くと「そうだよ」と言われた。
家でも仕事なんてホテルコンシェルジュも暇じゃないな。
「A学校はどうだ?友達できた?」
「友達どころか居場所すらない」
「ハルトくんは?」
「……」
そいつのせいだよ、という言葉は飲み込む。
お父さんはそんなこと全く気づかず、「あ、そういえば…」とゴソゴソ書類を取りだした。
「ヒルトホテルが全国チェーン500店舗突破したんだ。今度それの祝賀パーティーがあるんだけどAも来る?」
「え、パーティー?なんで私も?」
「ぜひご家族もってみんな招待されてるんだよ。相当大きなパーティーになると思う」
「えー……」
パーティーってだけでも嫌なのにヒルトホテルのパーティーだなんて嫌な予感しかしない。
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うちゅちゅちゅじぇひょくん - コメント失礼します!今まで見たtreasureの妄想の中で一位になるくらい面白いです笑キャラも最高だし、ところどころのツッコミ?とか主人公の性格も面白いし似てるというかとにかく最高です!応援してます! (6月18日 16時) (レス) @page45 id: 30883e7dee (このIDを非表示/違反報告)
にょっぱ(プロフ) - 大車輪に毎回吹き出しちゃいます。素敵な作品を掲載して頂いてありがとうございます!これからも応援しています♡ (6月11日 23時) (レス) @page26 id: 3902eee54d (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - じぇさん» 書き手再開しました。お待たせしました。また自分のペースでちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - ?.さん» ありがとうございます。また自分のペースでちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
どりぃ(プロフ) - 千春さん» 大変お待たせしました。またちまちま更新していきますm(_ _)m (2023年5月2日 16時) (レス) id: 3103c196aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どりぃ | 作成日時:2021年11月14日 10時