【どろろ】私は貴方の目になる。 (ページ2)

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1話ページ2

sideA

先生に拾われ、竪琴を弾いて暇を潰す。

先生が赤子を拾ってきた。

赤子と言っても全てを無くした子。

A『先生！この子息してる！』

寿海｢嗚呼…生きたいと…生きようとしている……｣

―16年後―

百がどっか行った…

百は耳聞こえないし…

｢なー、何探してんだ？｣

子ども…？

｢目、見えてないんだろ？何探してんだ？｣

あ、百。

｢あっ！｣

こっちに来た。

A『百、1人でどこかに行かないで。』

って言っても聞こえないんだよね…

今では私より大きな身長。

ぺたぺたと私の顔周りを撫でる。

A『…百…』

顔が…

A『…百…私の手、感じれるかい？』

不思議そうに私の手を撫でる。

｢おい！そこのお前！｣

ちびっ子が何してるのだろうか…

A『君は…1人かい？』

｢そうだ！何だよ！1人じゃ悪いのか！｣

今の世じゃ珍しくはないか…

A『この人はそこに居るのが人間なのか物の怪なのか食物なのかしか分からないよ。』

｢なんだよそれ……でも、誰か探してたぞ！｣

…物の怪をだろう？

｢で！お前にぺたぺた触ってる！｣

A『私を探してくれたのかい？嬉しいねぇ。』

｢おいらの話無視して歩くし！急にキイチゴや魚とって食うんだぜ！｣

元気な子だなぁ…

A『ならもうご飯は食べたんだね。』

｢あんたは飯食わねえのかよ。｣

A『私は生きる最低限で充分だよ。欲張っちゃバチ当たる。』

それに今は眠気の方が勝っているしね。

A『おやすみ、百。』

朝、私を置いて行っても可笑しくない。

起きたら居なかった。

そうだ…

私の事は…

と思っている時だった。

ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ

私の頬に手が当たる。

A『こらこら、先に顔を洗おう。』

それでも尚、触る。

A『おいで、百。』

顔を洗わせる。

A『こうやって、顔を洗うんだよ。』

慣れないのか、水が冷たくて驚いているのか。

A『よしよし。良い子。』

｢あんた、昨日はぐっすりだったな。おいら、どろろ！｣

そうだ…百に懐いた子が居た。

A『私はAだよ、好きにお呼び。』

どろろ｢おいら、あにきの事はあにきって呼ぶ事にした！｣

A『そうかい。良かったねぇ。弟が出来たんだよ。』

どろろ｢あにきの名前って何？｣

私が言っても良いけど…

A『私は百って呼んでるよ。名前は覚えているだろう。』

聞こえないだけだ。きっと。