とどろきくんの片割れ (ページ4)

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片割れ3 ページ4

釣りの帰り。家からも遠いし、いつもの場所とは違うスーパーに寄ることになった。買うものは…そうそう。ワサビとダシとー、ゴマと玉ねぎ。あと卵も欲しい。

『すみません。お砂糖ってどこにありますか？』

「はい、えーっと……A？」

『お疲れ様。誠司がここでバイトしてるって聞いたから、寄ろうと思って』

「そうなんだ。Aは…大荷物だね？」

『釣り行ってきたから。今日の夕飯は魚〜』

手際よくカゴにポンポンと商品を入れていくと、こっちの方が安いよと誠司が品物を持ってきてくれた。流石です。あ、そうそう。忘れずに消毒液買わないといけないじゃん。俺は別にいいけど、洋介が困るしね。たまに芝くんと辻くんも来るし。2人のためにも…あー、絆創膏とかも予備でほしいかな。あ

「1人で来たの？」

『いや、兄貴と一緒』

「そっか。そう言えばさ、幼馴染がAに会いたいって言ってた」

『まじ？幼馴染ってあれでしょ、団地の子たち』

「そうそう。みんな悪い奴らじゃないから、気が乗ったら俺らの溜まり場にでも来てよ」

『行きたい！話でしか聞いたことないもんな〜…』

誠司が人を殴って別室に呼ばれたあの日、後から話を聞いたら鬼邪高の人間を馬鹿にされたから…だと言っていた。なんでも、同じ団地出身の幼馴染たちが鬼邪高にいるらしい。昔から相手を知ってるからこそ、勉強ができるだけの人間に馬鹿にされて頭にきたんだって。まあ同じ日に俺も進路室に呼ばれてたけど。先生たちって俺みたいなのにすぐ目つけて、なんともないようなことも起こってくるんだよなー。いくら期待してないからって、理不尽すぎ。

「A。終わったか？」

『あと醤油だけ。洋介は？なんかあった？』

「醤油は持ってきた。他は特に」

釣り道具を肩にかけ、醤油を片手に持った洋介が戻ってきた。なんともアンバランスな見た目なこと。こんなん、鬼邪高の人たちに見られたら笑われそうだよね。てか釣りが趣味な時点で笑われそう。

『あ、誠司。これが俺の双子の兄の轟洋介。鬼邪高に行ってる』

「どうも」

「こんばんは。秀徳の桐原誠司です」

「こいつすぐ調子乗るけど、仲良くしてやってくれ」

『調子乗るは余計じゃん。違うし。洋介がクールだから、俺が代わりにやってるだけ』

「何の代わりだよ」

かすり傷や瘡蓋が多い洋介と、傷ひとつない俺。真っ黒の学ランを着る兄と、ブレザーの弟。これだけを他人に見せると、全然同じ家の人には見えないよね。