貴方の専属「圧倒的モブ顔店員」です。 【2j3j】

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＿自分をモブだと思ったことは無いが

自分をモブ顔だと思ったことはある。


と、言ってしまうと「モブ顔」というジャンルに失礼な気もするし

そもそもモブという単語にも失礼な気がするが

まぁ要するに何の特徴もない、そこら辺に描かれてそうな顔 である。





なぜ私がモブ顔と自分自身のことを思っているのか

それは小学生の時、好きだった 山田 健吾くんに

「わたしのかお、何点？」って聞いたら

「････37てん」と言われたからである。




実に微妙な数字だ、

確か小学生のヘラヘラメンタルの私は

50点より低いことに大泣きしたみたいだが

今となっては山田 健吾くんはセンスがある。

微妙な顔には微妙な数字、

山田くんくらい素直な方が吹っ切れるものだ。

案の定そこから彼のことは好きじゃなくなったのだが。




･




「ねｯ、ね、今日何時上がり？待っとって･･･良い？」



『なぜ女相手に上目遣いするんですか』



「んー、ダメぇ？」



『･･･外でタバコ吸っててください。あと30分で上がりなので』



やっった！！と少年がカブトムシを採ったかのように両手を上げて店を出ていく背中を眺める。



さて、今どこに居るか分からない山田 健吾くん

あの人は、私の顔を何点と言ってくれるでしょうか。


顔も愛想もいい新人ちゃんが100点だとすると

精々49点くらい？

人を点数で表すのもどうかと思うが、

モブ顔ってのはこうして自分を卑下して生きていくんだよ。






店長「待っとっていい？なんて、初めてじゃない！？僕初めて聞いたよ〜」



『私も初めてです。何か話したいことでもあるんでしょうか』



店長「プロポーズじゃない？」



『私と彼の関係は知人ですよ』





またまたぁ、と茶化す店長だが

このノリ何年続いてると思う？

1年だよ、1年私と彼は知人貫いてんだよ。





ゴミ回収のついでに

店内から外の灰皿が置いてある場所を眺める。


スマホを眺めながら煙草を吸う姿は

様になっていて格好いい。

じーっと見つめていると、

視線を感じたのか、キョロキョロし始めた彼は私を見てブンブンと手を振った。




『趣味悪いってよく言われそう』




あんな格好いい人が

私の為に時間を使って、私の為に煙草を吸いながら待っている。




あの人、職場の人とか友達とかに

「お前の好み変じゃね？」なんて言われてたりしない？





言われてたら、あの人は否定してるのかな。



手を小さく振り返して 仕事へ戻った。

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