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黒色のカッチリした紙袋の中には先程買った二着の服が入っていた。
今からのシーズンである新作秋服だったので値段は張ったが、良い買い物をした。
家に帰ったら早速試着して母に自慢しよう。
ローレンさんに行きたい店がないか聞くと
あんま無い。と微妙な返事を貰ってしまった。
先程エデンに無いものは無いと言っていたし
慣れない日本の土地だ、逆に行きたいところを探す方が難しいのかもしれない。
じゃあ、一旦クレープ屋に行かないかと誘おうと隣を見上げると居るはずだった人が居ない。
素直に後ろを振り向くとゲームセンターの目の前で立ち止まり、ずっとその店内を見詰めていた。
小さな子どもが親御さんに物を強請る姿に
夏休み中だろうか、男子高校生がクレーンゲームで賑わっている姿
女子高生がプリクラを撮ろうと機械を相談している姿、どれも見慣れた光景だ。
けれど、ローレンさんは何とも言えない顔で見続けていた。
自分には当たり前に映るその光景が、
彼には無かった見慣れない光景に写っているのだろうか。
エデンのスラム街出身の彼と平凡に何の苦労もなく育ってきた私ではどうしても違う部分がある。
『ゲームセンター、入りますか?』
「っえ?!あ、あー・・・」
『行きましょう。クレーンゲーム、結構得意なんです』
「俺、見てただけだけど・・・」
それは愛の受け取り方だった。
元々自己肯定感が地の底にある様な人だと知っていた。
彼は愛を与えるし、他人を笑わせて他人を幸せにできるが、他人から貰う愛には戸惑いが生まれるし恐怖を感じている様な目をする。
自分は何があったとしても辛くないです、慣れています。と そう生きてきたんだろう。
要らん世話だと思われるだろうが、
私はそんな貴方を変えていきたかった。まぁ、あんまり上手く行っていないのだが。
微かに震えていた細い手を取り
ゲームセンターへ向かうと、足が固まっていたローレンさんは不安定な足取りで着いてきた。
わっ、と目を大きくさせたローレンさんはあまりにも眩しかった。
初めて出会ったあの日
痛々しい姿だった貴方に変な形で絆創膏を渡し、
後日ちゃんと絆創膏を頬に貼った彼が来店した時から
きっと私の心臓は可笑しかったんだ。
どんな形でもいいから、貴方の為に動きたい。
貴方の為に存在していたい。
私は、自覚する ずっとずっっと前から
貴方が好きだ。
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。どろ(プロフ) - とさかさん» とさか様、コメントありがとうございます!ちょっとメンヘラ意識してたので気づいて頂けて嬉しいです…!応援ありがとうございます! (3月13日 11時) (レス) id: 474271a7de (このIDを非表示/違反報告)
とさか - とってもおもしろいです‼ちょっとメンヘラな所、最高です。 更新楽しみに待っています! (3月11日 18時) (レス) @page22 id: 7dfc9e770a (このIDを非表示/違反報告)
。どろ(プロフ) - ひかりさん» ひかり様、コメントありがとうございます!これからも更新頑張っていきます! (2月15日 0時) (レス) @page17 id: 474271a7de (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 素敵です!!続き楽しみにしてます! (2月12日 18時) (レス) @page16 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
。どろ(プロフ) - こあらさん» こあら様、コメントありがとうございます!そして気づいてくださりありがとうございます。誤字脱字にあまり気づかず・・・こあら様が教えて下さり助かりました!応援ありがとうございます! (2月7日 7時) (レス) id: 474271a7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:。どろ | 作成日時:2024年1月28日 19時