貴方の専属「圧倒的モブ顔店員」です。 【2j3j】

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思えば、何も言われたことがない。

出会ってから1年、世間話で積み上げてきたこの関係は遠すぎず近すぎずだった。


彼と出会い、自分の中で決めたこと。

コンビニを癒しの場にすること、そして色々あるあちらの事情を聞かないようにすること。






･･･まさか、自分で言ってくれるなんて思わなかった。





『･･･私は、例え貴方が幾つでも、貴方がどこで育ってどんな環境で生き延びてきたとしても』


『どれだけ不健康でも、どれだけ自分自身を卑下していても』


『私は貴方を尊敬してます。貴方に出会えてよかったと思っているんです』



私がもし、ローレンさんだったら

きっと耐えられないことが沢山ある。

食べ物がない、水が汚い、住居も心許無い。

お金も無いからお金を稼ぐために何でもする。

私はそんな環境で生き延びられないし、例え生き延びたとしてもこんなに立派な人に育たない。




『謝ることはない、寧ろ誇るべきです』



『誰がなんと言おうと貴方は立派な人です』



『スラム街に住んでいたこと、加齢が止まっていること。そんなこと謝ることではありません、エデンで俺は頑張っていたし今も頑張っているんだ！ってそう思っておけばいいんです』



胸を張って生きてください。



そう声をかけて

また目にかかった長い前髪を払ってあげると

ローレンさんは泣きそうな顔をしていた。



立派なお方だ、

私なんて体重サバ読んだり、ネットでは別人格なんじゃないかってレベルで理想の女性を演じてたり

隠し事もしてれば嘘なんてつきまくってるクソ野郎だというのに。





『人は、ごめんねではなくありがとうと言っていただける方が嬉しいんですよ』



「･･･ぁ、あり、がとう」



『はい、生きてくれて私と出会ってくれてありがとうございます』



「あ、りがとう、」




俺はあの時、Aさんと出会えてよかった。

と呟いた小さな声はちゃんと耳に届いている。




あの時出会っていたのが私以外だったらどうしよう

なんて変なことで悩んでいたけど、悩む必要なんて無かった。

互いに会えてよかった。とそう思っているならそれで充分だ。




『顔が赤い･･･、熱が上がったかもしれません。もう一度寝ましょうか』



「んーん、熱じゃない」



『ふふ、お得意の強がりですか？お顔が赤いですよ』



「･･･っね、熱じゃない･･･」

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