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私が粥を作る間、
彼は不安定な足取りで
返り血の浴びた服から寝巻きに着替え、寝室へと向かった。
キッチンは適当に使って、と仰っていたが
調味料もほとんど新品から使われていないし
何ならそのまま賞味期限切れが近いものもある。
冷蔵庫の中身は水と卵と味噌等の基本的な食品だけだった。
仮拠点と仰っていたので、エデンの方の家がこうでないことを祈るばかりだ。
料理アプリをスマホで開き、睨めっこしながら鍋に米と水を入れる。
恥ずかしながら、料理は完全に母任せで私は昔から苦手だった。
休みの日に料理をすることはあれど、包丁の扱いは苦手だし
味付けをするのも苦手、料理は得意では無い。
コトコト煮込んで、あとは塩を入れるだけ・・・
別でおかず枠として冷蔵庫にあった味噌とお肉、その他調味料で肉味噌を作った。
『美味しいの、かな・・・』
彼は 家庭の味しか受け入れない!っていうタイプでは無いと思うし、
ローレンさんは若干私に甘いところがあるので大丈夫だろう。
柔らかくなってきた米を確認し火を止め、
茶碗にお粥と別皿で肉味噌を乗せて寝室へ向かうことに。
寝室の外から聞こえる咳払いに
やっぱり無理してた・・・と肩を竦め扉を叩いた。
返答が返ってきたので部屋へ入ると
しんどそうだった彼の顔はパッと明るくなる
『酷い咳でしたが、大丈夫ですか?』
「・・・聞こえてたの?」
『咳の一つ二つしてくれないと、逆に心配だったので大丈夫です』
「・・・・うん。ありがとう」
んん゛とまた一つ咳払いしたローレンさんに
はい。と作ってきたお粥が乗った盆を渡した。
おぉー!と目が輝いているローレンさんだが、
大きく立っている湯気を見て チロりと舌を出した。
一向に眺めているだけでスプーンを持とうとしないローレンさんに声をかける
『食欲ないですか?それとも変な匂いか何かでしょうか・・』
「いぃや!?!?・・ただ、舌やけどしそうだなって」
『え?』
「俺、猫舌なの。あんま熱いの食べれなくて」
ローレンさんの近くに腰掛けた私はその言葉に大きく肩を落とした。
そこまで配慮が出来ていなかった・・
どうせなら温まる方がいいだろうと熱々どころか灼熱地獄粥を提供してしまった。
「いや、冷ませばいいだけよ?食べるの時間かかるけどいい?」
『あの、看病初心者で、ごめんなさい・・・』
「何で謝る?むしろ有難うだよ」
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。どろ(プロフ) - とさかさん» とさか様、コメントありがとうございます!ちょっとメンヘラ意識してたので気づいて頂けて嬉しいです…!応援ありがとうございます! (3月13日 11時) (レス) id: 474271a7de (このIDを非表示/違反報告)
とさか - とってもおもしろいです‼ちょっとメンヘラな所、最高です。 更新楽しみに待っています! (3月11日 18時) (レス) @page22 id: 7dfc9e770a (このIDを非表示/違反報告)
。どろ(プロフ) - ひかりさん» ひかり様、コメントありがとうございます!これからも更新頑張っていきます! (2月15日 0時) (レス) @page17 id: 474271a7de (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 素敵です!!続き楽しみにしてます! (2月12日 18時) (レス) @page16 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
。どろ(プロフ) - こあらさん» こあら様、コメントありがとうございます!そして気づいてくださりありがとうございます。誤字脱字にあまり気づかず・・・こあら様が教えて下さり助かりました!応援ありがとうございます! (2月7日 7時) (レス) id: 474271a7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:。どろ | 作成日時:2024年1月28日 19時