第4話 こどものころのはなし ページ6
1人の少年が私の目の前で立ち止まる。
「……ねぇ、どうしたの？」
その少年は私がこんな人気のない公園で1人でいることが気になったらしい。
そしてその少年は私の膝から血が出ていることに気づく。
「膝から血が出てる。ちゃんと洗わないとばい菌入っちゃうよ。洗いに行こう？」
彼は私の傷を心配してそう言うが、私は立つ気にもなれなくて俯いたままブランコに座って動かなかった。
すると少年が離れていく足音が聞こえ、あぁ、私が面倒くさそうなやつだって分かったから放っておいた方が良いと思ったんだろうな。って落胆した。
どうせ私を本気で心配してくれる人なんてお父さんしかいないんだ。
ますます私の気持ちが冷え切っていくのを感じた時、
またこちらに向かってくる足音が聞こえた。
それはさっき帰ったと思っていた少年で、彼は無言で私の傷口を水で濡らしたティッシュで付いていた砂を落とした。
「僕、絆創膏は持ってないからこれで我慢してね。」
彼はそう言って新品そうなハンカチをポケットから取り出すと絆創膏の代わりだというように私の膝に巻きつけた。
『……どうして。どうして私に優しくしてくれるの。』
そう尋ねると、元々下がった目尻が特徴的な彼は更に目尻を下げてふにゃりと笑った。
「僕は優しくないよ。ただ、君にしてあげたいと思った事をしただけ。……それに、君は暗い顔をしてた。たまに僕も1人になりたいと思う時があるから分かるよ。」
彼は私の両手を自分の両手で包むと微笑んだ。
「僕は、星名 蓮。……君は？」
『……蓮…君。私は…、九条 A。私の事知らないの……？』
私の事は大体の人が知ってるはず。
だって私の両親はお金持ちだし、常に成績優秀な私は先生からの評価も良く、自分で言うのも何だけど、容姿も完璧だと校内では有名だった。
そんな私を彼が知らなかった事にびっくりした。
「ごめん、君の事は今日知ったばかりで、有名だった……の？僕馬鹿だからそんな事も知らなくてごめんね。」
困った表情で謝られるが、私は彼が私を知らないでも優しくしてくれたという事実がとても嬉しかった。
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癒 - 続きが気になります！更新楽しみに待ってます。 (2018年4月26日 7時) (
レス) id: 81efe12913 (このIDを非表示/違反報告)
かたあげ(プロフ) - さよこさん≫わざと蓮にしたのもあるのですが、分岐点で"漣"に変更するのを忘れていました汗 ご指摘ありがとうございます！順次直していきます。 (2018年4月10日 0時) (レス) id: 31645f9595 (このIDを非表示/違反報告)
さよこ - 蓮って、漢字間違えてませんか？それともわざとでしょうか？ (2018年4月9日 22時) (レス) id: 33beb3236a (このIDを非表示/違反報告)
かたあげ(プロフ) - 美紀さん≫コメントありがとうございます！E-girlsほんと格好いいですよね(*´ω`*)ご期待に添えられる様に頑張ります！ (2018年3月31日 11時) (レス) id: 31645f9595 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - E-girls大好きなのでこのドラマお姉ちゃんとみてましたなのでこの小説最高です (2018年3月29日 12時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かたあげ | 作成日時：2018年3月20日 22時
