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第3話 こどものころのはなし ページ5

それは、小学六年生のときにピアノのコンクールでこれまでにない、盛大なミスを犯してしまったときの事。


勿論、小さなミスをも許さない母、瑠璃子はAが家に着いてからその溜め込んだ怒りを爆発させた。


やらかしてしまった大きなミスは、1度の張り手では気が済まなかったらしく、私は床に押し倒されて両頬が赤くなるまで母に何度も頬を叩かれた。


しまいにはダイニングの椅子に手をかけて両手で掴んでは私に振りかざそうとした。が、そのときに運良く父が帰ってきて外まで聞こえたその怒声に急いでドアを開けて見えた現状を一瞬で理解し、母を押さえつけた。


父が母を押さえつけながら宥める姿をぼうっと眺めながらさっき起きた事を理解し始めた。


とたん、私の両手が震え出した。


本当に殺されるかもしれなかった。


お父さんが運良く帰って来ていなければ死んでいた。


そう思ったら体が勝手に走り出していた。

私を呼び止める父の声も気にせずにドアを勢いよく開け、履き慣れた靴を中途半端に履いてがむしゃらに走った。


途中何かに躓き、足がもつれて転んでしまって膝から血が出た。
膝は痛かったけど、それよりももっと痛い場所は別にあった。


気づくといつもの人気のない公園の近くまで来ていた。


私は嫌な事があった時や家に居たくないときに公園に行く時があって、あまり人の寄らない公園だからここは1人で落ち着くのに丁度いい場所だった。


錆びついたブランコに座ると色んな思いが私の中でせめぎ合う。


確かに今まで死ぬ気で練習してきた事を無駄にしてしまった様なミスは私も悔しかったし、母がそれに対して怒りを露わにする気持ちも分かっていた。


いくら厳しく私に当たる母だとしても、まさか殺されそうになるだなんて少しも思いもしなかった。


だからすごく怖くて

受け入れたくなくて


今は家に帰る気になれなかった。


でもそんな時、1人の少年が私の元へ歩み寄ってくれた。



ーーーーその少年こそが、星名 漣



彼だった。

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- 続きが気になります!更新楽しみに待ってます。 (2018年4月26日 7時) (レス) id: 81efe12913 (このIDを非表示/違反報告)
かたあげ(プロフ) - さよこさん≫わざと蓮にしたのもあるのですが、分岐点で"漣"に変更するのを忘れていました汗 ご指摘ありがとうございます!順次直していきます。 (2018年4月10日 0時) (レス) id: 31645f9595 (このIDを非表示/違反報告)
さよこ - 蓮って、漢字間違えてませんか?それともわざとでしょうか? (2018年4月9日 22時) (レス) id: 33beb3236a (このIDを非表示/違反報告)
かたあげ(プロフ) - 美紀さん≫コメントありがとうございます!E-girlsほんと格好いいですよね(*´ω`*)ご期待に添えられる様に頑張ります! (2018年3月31日 11時) (レス) id: 31645f9595 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - E-girls大好きなのでこのドラマお姉ちゃんとみてましたなのでこの小説最高です (2018年3月29日 12時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かたあげ | 作成日時:2018年3月20日 22時

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