第24話 あなたをしばるわたし ページ26
彼女は目を細めてAを見下す。
「Aさん、貴方の"ソレ"は愛情なんかじゃないですよ。貴方は身勝手な自分の歪んだ感情と欲望を星名くんに押し付けてるだけです。」
『違うよ、確かに私は漣を愛してる。嘘じゃない。』
「いいえ、違います。貴方は確かに星名くんを守っていた。それは事実。その時星名くんには頼れる人が貴方しかいなかった。でも、整形して、星名くんが1人でも、貴方なしでも生きていけるようになって怖くなったんですよね？今まで自分だけを頼っていた星名くんが誰かに取られるのを。貴方を必要ないと切り捨てるかもしれない事を。」
『違う！そんなんじゃないッ！』
「でも優しい星名くんは貴方を切り捨てる事は出来なかった。一度でも兄弟だと思えた貴方を。貴方がもう必要ないとしても。大きな枷になっているとしても。Aさん、自分で気づけなかったんですか？」
『そんな……はず……。』
「貴方とそういう関係になったのも、貴方を気遣ってです。貴方は星名くんを愛してなんかいない。ただ、自分を必要とする人、裏切らない人が欲しいだけです。」
もう、私は何も言い返す事が出来なかった。
きっと、薄々だけど気づいていたんだ。
自分の……こんな醜い感情に。
「じゃあ、私はそろそろ帰ります。急に呼び出してしまってすいません。では、よろしくお願いしますね？…………星名くんを苦しめないでください。」
私は何の言葉を返す事も出来ないまま、椅子に座っていた。
テーブルには彼女が置いていったのであろう、千円札が2枚置いてあった。
私1人だけ時間が止まっているかの様に人の話し声も店内に流れるBGMも何も聞こえなくなった。
弥恵ちゃんの言う様に本当は漣を愛していたわけではなかったのかもしれない。
ただ、自分にすがる事しか出来ない人が欲しかっただけなのかもしれない。
確かに私には本当の友達と呼べる人なんて1人もいないし、皆んな私の事は美人だから、優秀だから、お金持ちだから……そんな理由でしか近づく人はいなかった。
皆んな私の内側なんてどうでもよかったんだ。
だからそういう事柄なしに一緒に居てくれる漣ともっと仲良くなりたい、一緒に居たいと思って利用したんだ。
……私は最低だ。
それで漣を利用して彼に重たい枷を付けて。
愛してるなんて……。
ごめんなさい、漣。
私の頬を一筋の温かい滴が静かに流れ落ちた。
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癒 - 続きが気になります！更新楽しみに待ってます。 (2018年4月26日 7時) (
レス) id: 81efe12913 (このIDを非表示/違反報告)
かたあげ(プロフ) - さよこさん≫わざと蓮にしたのもあるのですが、分岐点で"漣"に変更するのを忘れていました汗 ご指摘ありがとうございます！順次直していきます。 (2018年4月10日 0時) (レス) id: 31645f9595 (このIDを非表示/違反報告)
さよこ - 蓮って、漢字間違えてませんか？それともわざとでしょうか？ (2018年4月9日 22時) (レス) id: 33beb3236a (このIDを非表示/違反報告)
かたあげ(プロフ) - 美紀さん≫コメントありがとうございます！E-girlsほんと格好いいですよね(*´ω`*)ご期待に添えられる様に頑張ります！ (2018年3月31日 11時) (レス) id: 31645f9595 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - E-girls大好きなのでこのドラマお姉ちゃんとみてましたなのでこの小説最高です (2018年3月29日 12時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かたあげ | 作成日時：2018年3月20日 22時
