あなたとわたしは。

第13話 かれのみせられないうちがわ ページ15

【漣 side】


ゆっくりと瞬きをしてから目を開く。

窓を見上げると空はオレンジ色に染まっていた。


「！……蓮、起きたの？」


お母さんが僕が目覚めた事に気付いたらしく、椅子を僕の近く置いてそこに座った。


「あれから2日間眠ってたのよ？」


あの時病室で目覚めてから2日も経ってたんだ……。


「よかったわ……。顔、痛む？まだ眠ってて良いのよ。」

「大丈夫だよ。まだ……顔は痛むけど。」

「そうよね、まだ顔が腫れているもの……。でも大丈夫よ。腫れが引いて鏡を見たら蓮もきっとビックリするんだから！」


お母さんは嬉しそうに微笑む。


「成功して本当に良かったわ……。」


良かった……ね。

それはどういう意味でお母さんは言ってるのかな。


……知ってるよ。

あの顔を見る事もなくなるし、お父さんが僕に暴力を振るわなくなるから罪悪感を感じなくて済むって言いたいんでしょ？


結局自分の為だったって、
僕の為じゃなかったって知ってから僕のお母さんに対する愛情は冷めていった。


お母さんは僕の心を殺した。





ーーーーーーーーーー





顔の腫れも引き、痛みもなくなった。


僕は今、鏡に映る整形後の変わった僕の顔を見ていた。


……全く違う。前の面影が全くなくなってる。


今の僕の顔は世間では"カッコいい"と言われる部類だろう。


本当に僕は変わったんだ……良くも悪くも。



いや、"変わった"んじゃなくて、新しく"生まれ変わった"んだ。



"僕"はもう星名 蓮じゃない。



"俺"は星名 漣だ。

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