其ノ拾 『人面犬』 ページ10
不安を抱きながらどうするか作戦を考えていると
「おい」
誰かに話しかけられ、足元。見ると先程の人面犬がいた
愛華「きゃあ！」
流石にびっくりした
いつの間に足元にいるんだもん
人面犬「それよこせ」
愛華「へっ！？あ、焼きおにぎり……」
人面犬「よこせ」
愛華「じ、条件付きで！」
人面犬「……言ってみろ」
愛華「私についてきてもらいます！」
人面犬「……いいだろう」
ｹﾗｹﾗｹﾗ……じゃあ校門を出て右ヨ
愛華「はい」
人面犬「あ？」
愛華「あ、いえ、何でもないです……」
同じ妖怪なのに舞音さんの声は聞こえてないのかな？そんな疑問を抱きつつ歩き出す
ｹﾗｹﾗ……ソコを左ヨ
と言われた通りに左折する
ここを左折してまっすぐ行くと神牙町の3分の2を占めている大きな立ち入り禁止の「竜神山(りゅうじんざん)」という山がある。
いわく付きの
あんまり近付きたくないのだが……
竜神山の近くなのだろう。と言い聞かせ歩く
ｹﾗｹﾗ……その山の麓に立ち入り禁止の看板があるかラ……そこて止まってちょうだイ……
愛華「はい……」
言われたそこで止まる
ｹﾗｹﾗ……もうすぐお迎えが来るワ……
お迎え……？
急に私と人面犬の間に強い光が光る
愛華「え！？」
人面犬「なんだ！？」
私は眩しさに目を瞑る
目を開くと、真っ白で綺麗などこかの屋敷のホールだった
どこ！？
アル「ご苦労だ。愛華殿」
もう見慣れたアルさんが立っている
愛華「アルさん！？」
アル「咲造」
人面犬「！？……なんで俺の名を……」
アル「色々とな。愛華殿、渡してやってくれ」
愛華「あっ、はい！」
私はしゃがみこみ、焼きおにぎりを差し出す
愛華「どうぞ」
人面犬「……いいのか」
人面犬……咲造さん？は焼きおにぎりを頬張る
その目からは涙が零れていた
人間界に執着したって言ってたよね……
よく分からないけど、私まで胸が締め付けられる
咲造さんはただ静かに泣いた
アル「咲造。その姿で人間界をうろつくとただ人間に嫌われるだけ。どうだろうか。この屋敷に住むというのは。ここなら、仲間ができる」
アルさん……！
捕まえるって言ってたから、怖い事になるのかと思ってたけど、居場所を与えるために捕まえる必要があったんですね……
私は単純に感動していた
咲造「……優しいヤツらがいるなら」
アル「それに関しては保証しよう」
愛華「決まりましたね！」
アル「愛華殿、ありがとう。依頼完了だ」
愛華「良かったです」
とりあえず事が収まったのかな……？
良かった
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作者名：ムーンナイト-moonnight- | 作成日時：2018年1月21日 0時
