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＊５８＊ ページ12
《なんで困るの？
どうせ誰も困らないよ。
…僕が死んだって。》
もしかしたら気づかないかもしれない。
…でも、それは嫌だな。
『なんでって…んー、俺がお前に興味があるから。
お前はまだ知らないことが山ほどある。
それを知りたいとは思わないか？』
もう一度わしゃわしゃと頭を撫でて、
ドラゴンは笑った。
『…お前、泣いてるのか。』
《っ、え。泣いてなんかないよ。》
気づいていなかっただけで、僕は泣いていた。
嬉しかったのか、寂しかったのか。
ドラゴンの言葉で少し楽になったんだ…と思った。
・
・
・
・
それから毎日のように、僕は塔にのぼった。
ドラゴンがそこにやって来て、
この国のことを
街のことを
いろいろなことを教えてくれた。
時にはこっそり街に連れて行ってくれて、
初めて見る街に、国民に圧倒されてばかりだった。
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作者名：翡翠
| 作成日時：2020年9月25日 0時
